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今だからこそ話せる川崎時代のエピソードと以心伝心のゴール。中村憲剛×大久保嘉人【特別対談/後編】

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2022年01月04日

プロ20年のなかで自分の思った通りのサッカーをできたのは…

2013年にはJ1通算100ゴールを達成。川崎のチームメイトと喜んだ。(C)SOCCER DIGEST

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――では嘉人さんは、改めて20年のプロキャリをどう振り返りますか?

大久保 苦しいことは多かったですが、最高でしたよ。すべてのクラブで貴重な経験を積めて本当に感謝しています。ただ、20年のなかで自分の思った通りのサッカー、こうやって攻めたい、こうやって点を取りたいという形を表現できたのは、やっぱりフロンターレにいた期間で、そういう環境に出会えたのは本当に幸運なこと。いくらサッカーが上手い人でも、自分の理想のチームに出会えない人は多いから。

 だからすべてのクラブに感謝しつつ、フロンターレと出会えたのは俺にとっては凄く大きなことでした。お陰で改めてサッカーが好きになれて、楽しくできるようになった。フロンターレではパスがどんどん出てくるし、良い形でシュートを打てて、点も取れた。その分、他のチームでは、なんでここでパスが出てこないんだと思っちゃうことはありましたよね。そこはサッカーの難しさだし、歯がゆいこともあったけど、フロンターレで学んだことを伝えたいという想いも強くて。そうすればサッカーは絶対楽しくなるから。だからそういうものをすべてひっくるめて、幸せなサッカー人生だったなと。

中村 嘉人に「フロンターレにいた時期が最も良かった」と言ってもらえたら、フロンターレに携わっている人はみんな喜ぶはずだよ。それに僕らも楽しかった。だから余計に「なんで移籍するの?」という感覚だったんですよ(笑)。でも今、嘉人も話したけど、他のチームでも自分の理想とするサッカーを伝えたい、新たな環境で挑戦したいという想いがあったわけで、そう言われると止められないですからね。その意味でも大久保嘉人の人生はチャレンジの連続だったと思うんです。それこそ“ザ・フォワード”の生き方。

 チームを移るリスクも含めて僕には分からない苦労があったはずですし、常に結果を求められ続ける。でも、そうしたプレッシャーを超越できる、ゴールを取った時の喜びはFWにしか分からないんでしょうね。自分でチームを勝たせる覚悟というか。その喜びを一度、覚えると、やめられなくなり、それがここまで続けられた原動力でもあるのかなと。

大久保 自分がゴールを取った時の喜びは、なんて表現して良いのか分からないような……、あれをまた味わいたいと感じると、ピッチに立ち続けられるんですよ。

中村 それに嘉人は、点を取るために練習もかなり積んでいた。居残りのシュート練習は常にやっていたから。その後のフロンターレも全体練習が終わった後に、シュート練習など多くの選手が個別のメニューをこなしているけど、その伝統は嘉人が作ったようなもの。あれだけ居残り練習をした人が得点王を取るんだって、説得力しかない。だからみんなシュート練習するよね。
 
――嘉人さんは練習をしないとゴールを取れなくなるんじゃないかと、恐怖心を常に抱えていたとも話していましたね。

大久保 不安は常にありました。「いつか取れなくなるんじゃないか」と。でも自分が納得するまでシュート練習をしておけば、自信がつく。試合で外しても、次は絶対に決めてやると、周囲に要求できるんですよ。

中村 それに嘉人はストライカーだけど、周りが良い動きをしたらパスも出せる。だから当時は嘉人が決めるし、嘉人にディフェンスがつられれば、周りの(小林)悠やレナトが生きた。そりゃチームとして点を取れますよ。

――では嘉人さんのなかで一番印象に残っているゴールはどうでしょう?

大久保 うーん、そうだな……。でもやっぱりセレッソ時代に取ったJリーグ初ゴールかな(高卒1年目の2001年4月14日の第1ステージ・5節の磐田戦)。あの1点ですべてが始まった。あそこで取れていなかったら、どうなっていたのかなとも考えちゃいますよね。プロになって早く取れたから良かったけど、もし結果を出せなかったら、どんどん焦っていただろうし、今振り返っても怖いですよ。だからこそ、あのゴールが一番大事で、今につながっている。自分は正直言うとメンタルが弱いので。

中村 恐らく誰よりも不安は抱えていたんでしょう。そういった素振りを見せなかったけど、焦燥感、不安もひとつのエネルギーになっていたのかなと。(佐藤)寿人ともそういう話をしたことがありましたが、点を長く取れる選手は、危機感が人一倍強いんだと思います。そして危機感を打ち消すために練習を積んで、試合での自信につなげる。ゴールを奪える理由はそこにありますよね。

 
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