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サッカー中継にもたらした革命。なぜ高校サッカー選手権は日テレ系列外でも放送されるのか【選手権100年】

カテゴリ:高校・ユース・その他

平野貴也

2021年12月31日

テレビマンたちに日本代表監督&コーチが実技指導!

今回ロングインタビューに応じてくれた坂田氏。言葉の端々からサッカーへの深い愛情が伝わってくる。写真:平野貴也

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 系列の枠を超え、全国各地のテレビマンが必死に中継やイベントを盛り上げ続けてきたことが、大会のメジャー化に大きく貢献した。

 当初、38局のうち3分の2は、サッカー中継の経験がなかった。そこで、全国各局の中継担当者が、当時よみうりランドにあったホテルで3泊4日の研修会を実施。撮影方法、字幕の付け方などを共有し、グラウンドでは実技も行なった。講師は、日本代表の長沼健監督と八重樫茂生コーチが務め、競技未経験のアナウンサーやディレクターに実技をレクチャーしたという。これがサッカー中継のレベルをぐんと引き上げる機会となったのだ。

 実技指導の理由は、それまでの実況にあった。坂田さんは当時をこう振り返る。

「ある地方局が放送した県大会で、アナウンサーが『あっ、またミスです』と繰り返していました。プレーの失敗は仕方ないけど、サッカーは面白いですよと視聴者に勧めているのに、言葉でまた価値を下げてしまっていました。

 でも、自分で実際にボール(当時のボール表面は柔らかいゴムではなく硬い牛皮)を蹴ってみると、キックの難しさやプレーの狙いが分かるようになり、同じミスでも『あっ、惜しい。何番の選手に合わせようとしましたが、残念。届きませんでした』と、良くなりました。この大会の放送は、サッカー界、高校生にエールを送る趣旨ではじめた事業ですからね」
 
 日本では、サッカーの映像を見る機会そのものが貴重だった時代だ。研修会を通じて、テレビマンたちはサッカーの見方、映し方、報じ方を各局で共有していった。さらに、各局が独自の努力も積み重ねる。各都道府県の決勝戦を中継するだけでなく、代表校が決まると全国大会出場に向けて特集を組むなど一般認知に貢献。「自分の出身県の代表チーム」としての存在感を与えていった。

 高校サッカーは、注目イベントへと成長。大会に憧れを持つようになった高校生のひたむきなプレーが、次の熱狂と注目を生み出す循環が生まれた。中継開始後、日本テレビ放送網社長の小林與三次さんの提言により、1983年度の第62回大会から都道府県代表制度(それ以前は全国7ブロック代表制)に変更されたことも、大会が日本全国を巻き込んで盛り上がる大きな転機となった。

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