苦しくも充実していた竹内彬のプロ16年間。そしてスパイクを脱いでも、なお意気軒昂に

カテゴリ:Jリーグ

今井雄一朗

2021年12月22日

武器を聞かれれば「コンディション」と迷わず答える

キャリアの最後は讃岐でプレー(写真は18年時)。引退後は同クラブの強化担当兼地域連携リーダーに就任。慣れない事務作業に四苦八苦も「誠心誠意やるだけ」と気合い十分だ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 16年間のキャリアは名古屋を出るところからラストスパートへ向かう。大分で1年半、讃岐で3年半を過ごすなかではキャプテンとしての存在感をその背中で見せつけてきた。プロサッカー選手としての武器はと聞かれれば、彼は「コンディション」と迷わず答える。

「特に突出した能力の持ち主でもない、サッカーが上手いわけでもない僕がどこで勝負するのかと言えば、コンディショニングでした」

 まずは監督の選択肢に入り続けることが重要で、選ぶ・選ばないは指揮官次第。しかし怪我をしてしまえば選択肢にすらなれない。竹内はその想いをルーキーイヤーの名古屋で痛感したという。楢﨑、秋田豊、藤田俊哉、玉田。日本のトップレベルに位置する選手たちの“準備力”を思い知り、本田圭佑や吉田麻也ら年下の選手の意識の高さにも刺激された。

「1年目から16年目まで、コンディショニングに神経をとがらせるということについては僕の中で変わることはありませんでした」。その姿勢はきっと、所属してきた各クラブのチームメイトたちにも、多くのヒントを与えたに違いない。

 そして竹内はいま、キャリアの最後を飾った讃岐を強くするための仕事に没頭している。強化部という仕事は自分をプロにしてくれた故・久米一正さん(名古屋GM、社長、清水GMなど)や現札幌の強化部長・竹林京介さんなどの影響を受けたといい、「ここ数年は引退後にこの仕事をしたいと思って過ごしていた」と明確なビジョンを描いていた。
 
 今はまだ慣れない事務作業に四苦八苦しつつ、Jリーグ合同トライアウトにも足を運ぶなど精力的に現場を駆ける日々。「まだ強化担当“ゼロ年生”ですから、誠心誠意やるだけです」。自らがそうだったように、選手は自分の足で道を切り拓ける。その道への扉を開くのが自分の役目で、その先に讃岐の、クラブの未来を築きたい。

 その仕事は地域連携リーダーとして与えられた役割とも相まって、いきなり多岐に渡るが、竹内の声は底抜けに明るい。引退を決めた時、彼がその理由を「次にやりたいことへのワクワクが勝りました」と説明した。大ベテランと呼ばれる年齢までプレーし、継ぎ目なく希望のセカンドキャリアに取り掛かれる選手は多いようで少なく、それはとても幸せなことでもある。

 Jリーグを生き抜いた歴戦の勇士の引退は寂しい。だが、竹内彬のサッカー人生はここからが本番だ。「選手の時よりも、セカンドキャリアのほうが断然成果を挙げられるような人になりたい」。退いてなお、意気軒昂に。讃岐の今後に俄然、注目したくなった。

取材・文●今井雄一朗(フリーライター)

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