「攻撃のリズムを作る」という点は、MFダニ・デヴィトが専門誌の記者相手に「時折、気持ちいいぐらいパスを回せていた」と久しぶりの感触を口にし、テレビ番組では「AZのティキ・タカ」という表現もあった。菅原は、スパルタ戦で見せたチームのパスワークをこう語る。

「今日は比較的、いいボールの動きでプレーでき、ここ数試合の中では良かった。その中で自分が入ったから、そういうプレーができたんじゃないかと、ポジティブに考えることもできると思います」

　そのキーワードは「シンプル」。

「『ボールを取ったらシンプルに』という自分の持ち味を出せたかな。クロスまで行けなくても、何回かいいボール運びや動かしができました。僕が（右ウイングに）入ったことによって（チームの良い部分を）出せたことが少なからずあったと思います」

　前回、右SBとして先発したNECとの試合（１‐１）の後、菅原はAZのサッカーを「もっとシンプルにサッカーをすれば良いと思う」と振り返っていた。短い時間ではあったものの、スパルタ戦のAZはワンタッチ、ツータッチとフリーランニングを交える「シンプルなサッカー」を取り戻したわけだ。
 

　菅原自身も、途中出場の２試合で「シンプルなプレー」への回帰を目指していた。なぜ、自分は先発の座を失ったのか、その手かがりを得るために、自身のプレー映像を何度も見直した。

　いろいろあった気づきの一つが、「決定的なボールを上げないといけない」「ここで良い崩しをしないといけない」とボールが来る前に考えすぎていたこと。その結果、「視野が狭くなってしまった」のだという。

「いい意味でもっと自由に（やってもよかった）。いいときって、なにも考えてなくてもいいところが見ているし、自然にボールがつながって行くと思う。そこでボールが来る前とかに、考えすぎていたところがあった。もっとシンプルに、考えすぎずにボールを動かす必要があるなと思いました。もちろん、前が空いていたらシンプルにドリブルしたらいい。考えがよりシンプルになったというか。難しく考えすぎていたのかなと思いました」

　NEC戦後、「AZはもっとシンプルにサッカーをした方がいい」と語った菅原自身が、シンプルさを失っていたのだ。

「間違いないですね。難しいプレーをすることが効果的なこともあれば、シンプルなプレーが効果的なこともあります。サイドバックは相手にとってハメどころです。プレスをかけられた中で、シンプルにリズムよく回していけば状況が変わったはずのシーンが、映像を見ていてい何度もありました。そういうところも含めて『シンプルにやろう』と思いました」

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