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【喜熨斗勝史の欧州戦記|第8回】日本人が知らなかったこんなに素晴らしい世界があるんだ――セルビアのW杯出場決定、ポルトガル撃破の舞台裏を激白する

カテゴリ:ワールド

連載・コラム

2021年11月21日

重圧との向き合い方が上手い。押しつぶされるのではなく楽しめる

喜熨斗コーチが指導する様子。BBCの取材も受け、外食をすれば写真や握手を求められるという。

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 就任して9か月。セルビア代表とともに活動するなかで感じるのは、ミスターもそうですが重圧との向き合い方が上手い。押しつぶされるのではなく楽しめるのです。例えば収容人数6万5000人超のエスタディオ・ダ・ルスで行なわれたポルトガル戦。ウォーミングアップ時点で彼らはスタジアム全体から降り注ぐ野太いブーイングの嵐を分かっていました。ピッチに入る前は皆で「来るぞ、来るぞ」とワクワクしていました。そして、いざブーイングをされると「やっぱり来たぜ!」と逆にエネルギーに変えていました。試合前から悲壮感はなし。リラックスしていました。そのへんはミスターも一緒で、試合前の鼓舞も通常どおり。平常心で臨めるのも、このチームの強さのひとつだと思います。

 今、ベオグラードの街は活気に満ち溢れています。外食をすれば写真や握手を求められたりします。先日はBBCの取材も受けました。ポルトガルに向かう前のチャーター機内でアレクサンダル・ヴチッチ大統領から激励を受けたように、やはりサッカーへの関心度は高いです。日本からは三浦知良(横浜FC)に「歴史に残る偉業だ」と言ってもらいました。日本代表主将の(吉田)麻也からも連絡をもらったので“日本代表も頑張って”と返信しました。

 そう、次への戦いは始まっているのです。

 FIFAのインファンティーノ会長が明言していましたが4月1日にワールドカップ本大会の抽選会があります。予選グループのポッド分けが従来のFIFAランキングに則るならば、私たちは第2ポッドを勝ち取ることが当面の目標。まずは3月の親善試合2試合が重要になります。その後はワールドカップまでにどういう相手とのトレーニングマッチが良いのかも見極めていかないといけません。カタールの暑熱対策も頭に入れないといけません。また私自身の見識を広めるうえでギリシャやポーランドなど見たことがない国の視察も考えています。頭の中は切り替わっています。

 幸い22年末までの契約延長にサインすることができました。このチャンスを生かして、自分だけではなく、いつか日本サッカーに還元できるように、しっかりと仕事をしたいです。ひとつでも多くのことを吸収して今後、上を目指していく人にも経験を伝えていきたい。また1日、1日を大切に過ごしていきます。

 日本で応援してくださった皆さま、ありがとうございました。

――◆――◆――
 
PROFILE
喜熨斗勝史
きのし・かつひと/1964年10月6日生まれ、東京都出身。日本体育大卒業後に教員を経て、東京大学大学院に入学した勤勉家。プロキャリアはないが関東社会人リーグでプレーした経験がある。東京都高体連の地区選抜のコーチや監督を歴任したのち、1995年にベルマーレ平塚でプロの指導者キャリアをスタート。その後は様々なクラブでコーチやフィジカルコーチを歴任し、2004年からは三浦知良とパーソナルトレーナー契約を結んだ。08年に名古屋のフィジカルコーチに就任。ストイコビッチ監督の右腕として10年にはクラブ初のリーグ優勝に貢献した。その後は“ピクシー”が広州富力(中国)の指揮官に就任した15年夏には、ヘッドコーチとして入閣するなど、計11年半ほどストイコビッチ監督を支え続けている。
指導歴
95年6月~96年:平塚ユースフィジカルコーチ
97年~99年:平塚フィジカルコーチ
99年~02年:C大阪フィジカルコーチ
02年:浦和フィジカルコーチ
03年:大宮フィジカルコーチ
04年:尚美学園大ヘッドコーチ/東京YMCA社会体育保育専門学校監督/三浦知良パーソナルコーチ
05年:横浜FCコーチ
06年~08年:横浜FCフィジカルコーチ(チーフフィジカルディレクター)
08年~14年:名古屋フィジカルコーチ
14年~15年8月:名古屋コーチ
15年8月~:広州富力トップチームコーチ兼ユースアカデミーテクニカルディレクター
19年11月~12月:広州富力トップチーム監督代行
21年3月~: セルビア代表コンディショニングコーチ
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