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いきなり部員の半数が退学も…プロジェクト開始3年で県予選決勝まで登り詰めた相生学院高の紆余曲折

カテゴリ:高校・ユース・その他

加部 究

2021年11月10日

苦境の中でもプロ基準を求める姿勢に一切ブレはなかった

相生学院初のJリーガーとなった福井。讃岐で技を磨き、チームに合流するのは試合前日という。(C)TAMURA PHOTO

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 こうして一昨年の選手権予選は戻って来た選手たちを加え、足の手術を終えたばかりでスパイクを履くこともできない日高光揮(今年は本来のボランチではなくセンターバックとして大活躍)をゴールマウスに立たせて、ぎりぎりの11人で臨むが地区大会の2回戦で敗退してしまった。
 
 ただし苦境が押し寄せる中でも、選手たちにプロ基準を求める上船の姿勢は一切ブレなかった。チームには並外れた行動力や思考力を備える当時2年の白倉琉聖という存在があり、誰もが主将として信頼していた。その白倉が声をかけて相生学院に入学して来たGK山田健太が、勝負形式のシュート練習で一度弾いたボールを再度詰められゴールネットが揺れる。上船はそれを「ゴール」と判定するが、山田は不服だった。

「そんなの試合中には入らないだろう」
 山田は副将を務めるリーダー格の一人だった。上船は即座に告げる。
「もう抜けろ。おまえは要らない」
「だったらもう辞めるわ」

 練習後には、山田を勧誘した白倉も上船に抗議をして来た。
「あんな言い方をしなくてもいいじゃないですか」
 上船は逆に訴えかけた。
「ウチのチームは一貫して、何事も他人のせいにしない自責志向を貫いて来た。もし健太が下級生なら注意をして終わる。でも副将が大事なチームの約束事を勝手に曲げていいのか? もちろん時には柔軟に変更するも大切だ。でもそれはみんなで話し合ってから決めることだろう? 納得できないなら、おまえも辞めてください。リーダーがブレたら誰も信頼しなくなる」

 翌日には残る2年生全員が、上船の前に顔を揃えた。
「僕らは今までずっと琉聖(白倉)に支えられてきました。だから琉聖がやる気になるまで、みんなで見守ります」

 インターハイ(兵庫県高校総体)開幕が10日後に迫っていた。上船は下級生だけで戦うと腹を決め、敢えて当時1年生のGK西野立晟を新主将に抜擢する。白倉と山田が別々に上船に反省の弁を伝えて来たのは、3日間練習を休んでからだった。それでもコロナ禍のためベスト8が終着点のインターハイは、全勝で終えていた。
 
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