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「なでしこ vs アメリカ」激闘の記憶【2011年ワールドカップ決勝】初優勝の歓喜をプレーバック!

カテゴリ:日本代表

早草紀子

2015年07月05日

アドリブで決めた作戦が再度の同点ゴールを生む。

4人目のキッカー熊谷がネットを揺らした瞬間、エースの澤(10番)をはじめ選手たちは喜びを爆発させた。 (C) Getty Images

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 1-1のまま90分を終えて延長戦に入り、リードを奪ったのはまたもやアメリカだった。
 
 延長前半の104分、ワンバックがヘディングシュートを突き刺した。
 
 ついに万事休すか……。そう思われたが、日本の選手は誰ひとり、一度たりとも下を向くことはなかった。そして117分、ふたたび追いついてみせるのだ。
 
 アメリカの攻撃を必死に食い止めながらチャンスをうかがっていた日本は、左CKを得た。キッカーの宮間と澤穂希が言葉を交わす。
 
「ニアに蹴るから」(宮間)
「じゃあ前に出るね」(澤)
 
 その瞬間にアドリブで決めた作戦が、奏功するのだ。
 
 宮間の蹴ったボールはきれいな放物線を描きながらニアサイドへ。ドンピシャのタイミングで走り込んだ澤が右足アウトで合わせ、ゴールネットへ流し込む!
 
「ボールが見えなくて、ゴールに入ったかどうか分からなかった」
 殊勲の澤はそう振り返った。
 
 アメリカは3度目の勝ち越しを狙って攻め立てる。日本は必死に食い下がる。スリリングな攻防が続き、迎えた延長ロスタイム、日本が大ピンチを迎える。
 
「残り時間を考えて、(レッドカードも)覚悟の上でした」
 
 モーガンの突破に対し、岩清水梓がファウルで食い止め、レッドカードを提示される。エリア手前の位置で、アメリカに直接FKのチャンスを与えてしまったのだ。
 
 日本は8枚の壁を並べる。主審の笛が鳴り響く。スタジアムは静まり返る。しかしアメリカの最後の攻撃を、日本は捨て身の守備で凌ぎきる。
 
 120分間の激闘を経て、スコアは2-2。勝負の行方はついにPK戦へと委ねられた。
 
 このPK戦で主役の座に躍り出たのは、大会最優秀GKに選ばれたアメリカのソロではなく、日本の海堀あゆみだった。
 
 1人目と3人目をストップ。二度のビッグセーブでアメリカを窮地に追い込むと、日本は3-1とリードする。
 
 そして登場した4人目のキッカー、熊谷紗希が確実にネットを揺らす! 日本はそれまで3分け21敗と一度も勝ったことがなかったアメリカをこの大舞台で初めて破り、ついに世界の頂点へと駆け上がったのだった。
 
 ドイツ戦の丸山をはじめサブメンバーもしっかりと結果を出し、まさに総力戦で手にした女王の称号――。
 
 チャレンジャーの立場はもう終わった。なでしこの新たな戦いが、いま始まった。
 
取材・文:早草紀子
(週刊サッカーダイジェスト2011年8月2日号より加筆修正)
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