「百年の夢」を結実させたチリの「度胸」
もうひとつ、忘れてはならない勝因がある。
開催国のチリはすべてのゲームを気候の穏やかな首都サンティアゴで戦い、一方のアルゼンチンは北部、中部、南部と強行軍を強いられ、その上、休みが一日少ない中でのファイナルとなった。時計の針が進むにつれて、アルゼンチンの選手が倒れていったのも無理もなかった。とくに29分のディ・マリアの負傷退場は痛く、これで攻撃からスピードが失われた。
もっとも、アルゼンチンはカレンダーやスタジアムを言い訳にはしないだろう。なぜなら、これがコパ・アメリカだからだ。
コパでは開催国がワールドカップ以上の好条件でゲームに臨む。だが過去44回中、実に37回をウルグアイ、アルゼンチン、ブラジルの3強が制してきた。
南米の人々はホームでコパを掲げる大変さを身に染みている。信じられないくらいの盛り上がりは、勝ち慣れたチームであってもプレッシャーに変わるからだ。
アルゼンチンは確かに疲弊していた。だが、チリがプレッシャーを克服する度胸を備えていなければ、この夜の勝利はなかった。その度胸が、4本のPKに凝縮されていた。
百年の夢の結実を見届けた私は、通りで幾度も抱え上げられながら宿に帰ってきた。宴が、これから始まる。チャンピオンたちの宴が。
現地取材・文:熊崎敬
開催国のチリはすべてのゲームを気候の穏やかな首都サンティアゴで戦い、一方のアルゼンチンは北部、中部、南部と強行軍を強いられ、その上、休みが一日少ない中でのファイナルとなった。時計の針が進むにつれて、アルゼンチンの選手が倒れていったのも無理もなかった。とくに29分のディ・マリアの負傷退場は痛く、これで攻撃からスピードが失われた。
もっとも、アルゼンチンはカレンダーやスタジアムを言い訳にはしないだろう。なぜなら、これがコパ・アメリカだからだ。
コパでは開催国がワールドカップ以上の好条件でゲームに臨む。だが過去44回中、実に37回をウルグアイ、アルゼンチン、ブラジルの3強が制してきた。
南米の人々はホームでコパを掲げる大変さを身に染みている。信じられないくらいの盛り上がりは、勝ち慣れたチームであってもプレッシャーに変わるからだ。
アルゼンチンは確かに疲弊していた。だが、チリがプレッシャーを克服する度胸を備えていなければ、この夜の勝利はなかった。その度胸が、4本のPKに凝縮されていた。
百年の夢の結実を見届けた私は、通りで幾度も抱え上げられながら宿に帰ってきた。宴が、これから始まる。チャンピオンたちの宴が。
現地取材・文:熊崎敬