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【コパ・アメリカ現地レポート】夢へ、あと1勝! 「太平洋ダービー」を制した開催国チリが決勝へ

カテゴリ:国際大会

熊崎敬

2015年06月30日

追いつかれ意気消沈したスタジアムをバルガスが歓喜の渦に変えた!

全2得点を挙げてチリを決勝へと導いたのが、このバルガスだ! (C) Getty Images

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【コパ・アメリカ2015】
準決勝
○チリ 2-1 ●ペルー
[得点者]チ=バルガス(42分、64分) ペ=オウンゴール(60分)
 
 開催国チリがペルーとの準決勝を2-1で制した。
 
 1916年の第1回大会からの参加国であり、過去6度、大会を開催しながら一度もタイトルを獲れなかったチリ。国民的悲願といっていい初優勝が目前となったことで、国中が沸き返っている。細長い国の至るところで、この夜はフィエスタが繰り広げられた。
 
 太平洋に面したチリとペルーの対戦は「クラシコ・デ・パシフィコ」と呼ばれ、1935年のコパ・アメリカを皮切りに実に76試合も繰り広げられてきた。チリが41勝14分け21敗と大きく勝ち越しているが、この大会に限っては互角に近い。
 
 そして、この夜もチリ人にとっては最後まで安心できない際どい勝負となった。
 
 リスクを冒して攻め続けるチリと、大会随一のカウンターを誇るペルー。対照的な両国の対戦は、序盤から激しい意地の張り合いとなる。だが、主導権を握っていたのはペルーだった。巧みにカウンターで切り返し、ラインを高く上げた2バックのチリ守備陣を脅かす。
 
 だが20分、流れを大きく左右する“事件”が起きる。大きくクリアしたペルーDFサンブラーノが、勢い余って目の前のアランギスの背中を蹴り上げ、一発退場となったのだ。
 
 ウルグアイとの準々決勝がそうだったように、この大会の審判はチリを勝たせる種を探しながら笛を吹いている。ベネズエラ人の主審も、この蹴りを見逃すはずがなく、サンブラーノは退場。ペルーは10人での戦いを強いられる羽目になった。
 
 数的優位に立ったチリは激しくペルーを攻め立て42分、バルガスの“コロコロシュート”で先制する。だが、リードは長く続かなかった。60分にはゲレーロのポストプレーに手も足も出ず、カウンターから左サイドを崩され、オウンゴールを献上。「中指」で3試合出場停止となったハラを欠く守備陣が脆さを見せた。
 
 ペルーの抵抗に遭い、例によって真っ赤に染まったナショナル・スタジアムが失意に包まれる。だが、先制点を決めたバルガスが4分後、意気消沈したスタジアムを歓喜の渦に変えた。
 
 右サイドから躊躇なく放ったミドルが、急激にドロップして逆サイドのネットを揺さぶる。この一撃がチリをファイナルに導くことになった。
 
 ビダルの交通事故、ハラの中指と予想外のスキャンダルを繰り広げながら、チリ代表は国民の夢にあと1勝に迫った。
 
 実は開催国では大会が開幕したころから、待遇向上を訴える教師が全国規模のストライキを起こし、教育機関が機能不全に陥っている。大会中も3万人規模のデモが首都サンティアゴで発生。それは教師を支持する生徒たちも加わり、大きなうねりとなったが、コパ・アメリカが盛り上がりすぎたために、まったく話題となっていない。
 
 最大のデモにビダルの事故が重なるという不運もあった。
 
 サンティアゴで出会った教師は、呆れた顔で嘆いていた。
「もちろんチリの勝利を祈っているよ。でも、この熱狂に乗じて教育予算が削られようとしているんだ。サッカーの勝利は90分だけのこと、教育は国の根幹に関わるんだよ。どっちが大切か、そんなことは言うまでもないよね。日本人のきみに嘆いてもどうしようもないけれど……」
 
 教師たちの嘆きをよそに、チリの熱狂は続くのだ。
 
現地取材・文:熊崎敬
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