4年前との“違い”が生んだ敗戦劇…それでも小菊セレッソの航海は始まったばかり

カテゴリ:Jリーグ

多田哲平(サッカーダイジェスト)

2021年10月30日

17年にユン・ジョンファン監督は言っていた

4年前とはチームは大きく変わった。ネガティブな選手流出もあったが、坂元(17番)の加入や、瀬古(左から2番目)の成長はポジティブだ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 あるいは、試合前からメンタル面で浮ついた部分があったのかもしれない。キャプテンの清武が試合後に「僕たちも気持ちは入っていたけど、名古屋のほうがもしかしたら気持ちはもっと強かったのかなと思う」と明かしたのは、そうした見えない差を感じていたからだろう。

 タイトルが懸かった決勝戦のプレッシャーは計り知れないものだろう。17年大会でクラブに初のタイトルをもたらしたユン・ジョンファン監督は決勝後に以下のように話していた。

「平常心を保つのは簡単ではなかった。今日はそういう精神的な部分で相手を上回ることができた。最後まで堅守を維持できたのは、チームワークの賜物だったと思う」

 果たして、この日のチームは、大一番で精神面で優位に立っていただろうか。早めに交代に踏み切った小菊昭雄監督の采配や、中央に偏りがちだった攻撃(サイドから揺さぶりをかけるのが得意なパターンだったはず)など、どこかいつもと違う焦りを感じさせたのは明らかだった。それこそが敗戦劇を生んだ一因だったように思う。

 もっとも、レヴィー・クルピ体制から小菊体制に変わって、わずか2か月しか経っていない。むしろ、シーズン中盤に攻守でバラバラだったチームが立ち直り、決勝まで進んだ健闘ぶりは称えられるべきだろう。

 G大阪との準々決勝ではライバルとの接戦を制し(1戦目は0-1で敗戦、2戦目は4-0で勝利)、浦和との準決勝でもビハインドを撥ね退けた(1戦目は1-1の引き分け、2戦目は1-0の勝利)。決勝戦でも、前半の組織された守備ブロックや右SBの松田陸を起点とした攻撃など、見どころは少なくなかった。
 
 逆境から少しずつまとまっていったチームは、タイトルを逃したこの悔恨も、今後の原動力とするはずだ。

 冒頭の清武の言葉には、続きがある。

「クラブとしては、この経験をもう二度としないために学ばないといけない。選手もこの悔しい想いを糧にして成長していきたい。僕自身もそうですし、若い選手たちもそうですし、今日感じた、見た光景を忘れずに成長していけたらいいなと思います」

 まだ小菊セレッソの航海は始まったばかりである。

文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)

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