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周到かつ的確。フィッカデンティ監督はピッチ外で試合を支配した【ルヴァン杯決勝/編集長コラム】

カテゴリ:Jリーグ

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2021年10月30日

勝負を分けた指揮官の力量差

名古屋がC大阪に2‐0と勝利したルヴァン杯決勝は、フィッカデンティ監督の采配が光った試合でもあった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 結果が全てのルヴァンカップ決勝で栄冠を手にしたのは、名古屋だった。47分に相馬のコーナーキックから前田のヘッドで先制すると、終盤の80分に稲垣のファインゴールで突き放して2-0と勝利。オリジナル10の意地を見せた。

 前半は我慢比べの展開で、双方とも決定機らしい決定機が見当たらない試合だった。とはいえ、攻撃に物足りなさを感じるというよりも、両チームの組織的な守備が機能している印象で、面白みに欠けたわけではなく、むしろ引き締まった45分間だった。

 そんな試合の流れを急変させたのが、名古屋の相馬だった。後半開始直後、左サイドからのドリブル突破をきっかけにコーナーキックのチャンスを得ると、自らのキックで前田の先制点を演出したのだ。流れの中で崩せないのならセットプレーで打開する、そこで良い仕事をしたのが相馬だった。

 そして、してやったりの形で先制した名古屋が真骨頂を発揮したのはここからだった。

 “完封”がトレードマークの名古屋らしい組織立った守備で、C大阪をシャットアウト。バイタルエリア付近あたりまでは相手にボールを運ばせても、そこから先は通さないという意思がはっきり見て取れるディフェンスで、強固な壁を築いた(特に左サイドバックの吉田が素晴らしかった)。C大阪のキーマン──坂元、加藤、清武、乾あたりを封じ込めた点で、この日は名古屋が一枚上手だった。
 
 勝因のひとつはフィッカデンティ監督の采配だろう。チームに安定感をもたらした5バックへの変更、稲垣のゴール(チームの2点目)をお膳立てしたシュヴィルツォクの途中起用など、どれもが当たった印象だ。打つ手が当たらなかった小菊監督(C大阪)の采配とは実に対照的で、指揮官の力量差が勝負を分けたと言っても過言ではなかった。

 リードしたら、こういうプランで試合を進める。フィッカデンティ監督の采配は、それが見ている側にも伝わってくるようなものだった。周到かつ的確。C大阪の持ち味を消したフィッカデンティの手腕は、掛け値なしに素晴らしかった。

 FC東京、鳥栖でも高い守備意識を植え付けたフィッカデンティ監督は、名古屋でもそのカラーを打ち出すチーム作りでルヴァンカップ制覇に導いた。ブレないスタンスで、どのクラブに行ってもオリジナルの色を出せる同監督は、世界とは言わないまでも、Jリーグでは間違いなく一流の指揮官だ。

 言うなれば、この試合をピッチ外で支配していたのはフィッカデンティ監督。もちろんプレーしたのは選手たちで、MVPに選ばれた稲垣はそれに相応しい働きを見せた。それでも、あえてこう主張したい。ルヴァン杯決勝の支配者は、フィッカデンティ監督だったと。

 もしかすると──。名古屋にクラブ史上初のリーグカップをもたらしたイタリア人指揮官を、次期日本代表監督に推す声が今後グッと増えるかもしれない。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集長)

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