かつてインテルにスクデットを３度もたらしたロベルト・マンチーニが舞い戻り、全てがうまくいくはずだった。しかしインテルは 相変わらずの低迷ぶりを続けている。
 
　マンチーニ体制になってから18試合が過ぎたが、ここまでの１試合の平均勝点は1.2ポイント。かなり低い数字である。まるで「一歩進んで三歩下がる」ような歩み方だ。
 
　ラツィオやユベントスといった上位陣に引き分けながら、ウディネーゼ、エンポリ、トリノ、サッスオーロというプロビンチャのチームに勝てないのは、一体どうしてなのか。
 
　かつてインテルに多くの勝利を与えたマンチーニは、インテリスタにとっては特別な存在だが、彼らの我慢もそろそろ限界に近づきつつある。やはりサポーターには、日々の勝利が必要なのだ。
 
　率直に言えば、今のインテルは明らかにタレント不足だ。そして何より、強いカリスマ性を持ったリーダーがいない。ピッチのなかでチームを率いる存在がいなければ、いくらマンチーニがベンチで怒鳴っても、それを選手に伝えることができない。
 
　かつてのハビエル・サネッティのように、インテルを心から愛し、最後の最後まであきらめずに戦い抜き、負けを覆してしまうほどの強い気持ちを持ったリーダーが、このチームには必要なのだ。この１月、ジェルダン・シャキリが移籍してきた時、その強靭さがチーム復活の鍵になることをインテルは期待した。
 
　実際、彼が才能ある選手であることに疑いの余地はない。しかし、弱冠23歳の青年には少し荷が重すぎたようだ。スターひしめくバイエルンでプレーするのと、アイデンティティーを模索中のインテルで戦うのでは、あまりにも状況が違っていた。
 
　マンチーニにも、それが分かったのだろう。だから、彼が作成した、この夏獲得したい選手の長い長いリストのトップに、ヤヤ・トゥーレを持ってきたのだ。

　トゥーレは、マンチーニがマンチェスター・シティの監督だった時から旧知の間柄というだけでなく、リーダーの資質を持っている。まさに、インテルが探しているタイプの選手なのだ。
 
　しかし、マンチーニの希望はこれで終わらない。FWにはパレルモのアルゼンチン人ストライカー、パウロ・ディバラとともに、バルセロナのペドロ・ロドリゲス、マルセイユのアンドレ・アユーの名前も見られる。ペドロは2016年、アユーは今シーズンで、それぞれクラブとの契約が切れる。
 
　また、数年先を見越し、何人かの有望な若手選手の名も候補リストに挙がっている。その筆頭はリヨンのナビル・フェキル（21歳）だが、彼を狙っているチームは多く、そう簡単に獲得できそうにはない。
 
　レギア・ワルシャワ所属のスロベニア人MFオンドレイ・ドゥダ、リーベルプレートのFWセバスティアン・ドリウッシも、マンチーニが食指を動かしている選手で、インテルで彼らの才能により磨きをかけたいと思っている。
 
　SBでは、チェルシーのフィリペ・ルイス（移籍金は1700万ユーロといわれている）、マンチェスター・シティのガエル・クリシ、そしてモナコのレーバン・クルザワ。本来ならトリノのマッテオ・ダルミアンのように、いろいろなポジションでプレーできる選手が欲しいのだが、彼はかなり“高嶺の花”であり、インテルの懐具合では難しそうだ。