ブーイングが鳴りやまないサン・シーロ……不甲斐なき2015年のミラノ勢

カテゴリ:メガクラブ

サッカーダイジェストWeb編集部

2015年04月07日

今年に入り勝率3割……順位でもトリノ、ローマの後塵を拝す。

敵地で悪いかたちで追いつかれながら、終盤にゴールを奪って勝利という今シーズン初めての展開が評価されたミラン。ここから復調できるのか。 (C) Getty Images

画像を見る

相手も意地を見せてきたのは事実だが……。クラブとして崩壊状態にある最下位パルマにホームで引き分けたことに対しては、いかなる言い訳も許されない。 (C) Getty Images

画像を見る

 セリエA第29節、ミランは敵地でパレルモを2-1で下し、今シーズン3度目、今年に入ってからは初の連勝を飾ったことで、フィリッポ・インザーギ監督も久々に喜びの表情を見せた。
 
 その同じ時間、サン・シーロではインテルの選手たちがホームチームにもかかわらず、ブーイングを浴びながらピッチを去っていった。先日、破産を宣言し、現在はサッカー連盟の援助によって“延命”を施されているパルマに1-1で引き分けたからだ。
 
 どん底にいるミランですら連勝を飾ったダントツ最下位の相手に、インテルは今シーズン、1分け1敗。大失態を演じたことで、地元紙によればフレディ・グアリンは「恥ずべきこと」と語り、チームはこの屈辱を晴らすべく、休日を返上して練習に取り組んでいるという。
 
 一歩のミランは、この連勝で5位チーム(サンプドリア)との勝点差を7とし、欧州カップ出場圏内の可能性も再び浮上。インザーギ監督は「怪我人が戻ればこうなることは分かっていた」と語ったが、ここ数試合とは打って変わってポジティブな雰囲気がミランを包んだ。
 
 しかし、それは表面上のものにしか過ぎない。攻守両面で組織プレーのレベルは相変わらず低く、サリ・ムンタリのように招集を拒否する選手もいてチームが一枚岩にはなっていない。また、クラブの株式譲渡の話題も、少なからずチームに影響を与えているようだ。決して未来は明るくない。
 
 それにしても、今年に入ってミラノ勢の凋落ぶりはより顕著になっている。下記は今年に入ってからの公式戦全試合の結果だが、両チームともセリエAでは13試合を戦ってわずか4勝しか挙げられておらず、コッパ・イタリア、そしてインテルの場合は欧州カップ戦でもすでに敗退を喫している。
 
 順位はミランが8位、インテルが10位。ちなみにトリノ勢(ユベントス首位、トリノ7位)、ローマ勢(ローマ2位、ラツィオ3位)との比較からも、ミラノ勢の今シーズンの酷さがうかがい知れる(昨シーズンも同じような結果ではあったが)。
 
 最悪のシーズンを送る両チーム。ミランは出だしこそ予想外に良かったものの、徐々にボロを出して降下していった。一方のインテルも、2節でサッスオーロに7-0の大勝を飾ったまでは良かったが、そこからは不安定な戦いに終始し、ついにワルテル・マッザーリからロベルト・マンチーニへの監督交代をも余儀なくされた。
 
 今冬の移籍市場では、両チームは積極的な補強を展開。しかし、それは全く成績に反映されていない。インザーギ監督は手腕のなさがたびたび批判の対象となっているが、マンチーニ監督にも厳しい視線が向けられつつある。
 
 かつてインテルでセリエA3連覇を果たした記憶がいまだクラブ関係者やインテリスタの脳裏に焼き付いているためか、インザーギ監督ほどの批判は浴びていないマンチーニ監督だが、戦術と状況を打破するためのアイデアに乏しいとは以前から言われており、その悪い面が完全に露呈してしまっている。
 
 今シーズン、もし両チームともに欧州カップ戦圏内に入らなければ、それは歴史上初の出来事になるという。欧州の地図からミラノという町を消さないために、果たしてミラン、インテルはここから奮起して意地の逆襲を見せられるだろうか。
 
◎ミラノ勢の2015年の成績
◇ミラン

セリエA
×1-2 サッスオーロ(H)
△1-1 トリノ(A)
×0-1 アタランタ(H)
×1-3 ラツィオ(A)
○3-1 パルマ(H)
×1-3 ユベントス(A)
△1-1 エンポリ(H)
○2-0 チェゼーナ(H)
△0-0 キエーボ(A)
△2-2 ヴェローナ(H)
×1-2 フィオレンティーナ(A)
○3-1 カリアリ(H)
○2-1 パレルモ(A)
4勝4分け5敗・18得点18失点・勝率.308・平均勝点1.23
コッパ・イタリア
○2-1 サッスオーロ(H)
×0-1 ラツィオ(H)
通算:5勝4分け6敗・20得点19失点・勝率.333
 
◇インテル
セリエA
△1-1 ユベントス(A)
○3-1 ジェノア(H)
△0-0 エンポリ(A)
×0-1 トリノ(H)
×1-3 サッスオーロ(A)
○3-0 パレルモ(H)
○4-1 アタランタ(A)
○2-1 カリアリ(A)
×0-1 フィオレンティーナ(H)
△2-2 ナポリ(A)
△1-1 チェゼーナ(H)
×0-1 サンプドリア(A)
△1-1 パルマ(H)
4勝5分け4敗・18得点14失点・勝率.308・平均勝点1.31
ヨーロッパリーグ
△3-3 セルティック(A)
○1-0 セルティック(H)
×1-3 ヴォルフスブルク(A)
×1-2 ヴォルフスブルク(H)
コッパ・イタリア
○2-0 サンプドリア(H)
×0-1 ナポリ(A)
通算:6勝6分け7敗・26得点23失点・勝率.316
【関連記事】
ミラン連勝!! 欠場の本田はポジション争いで後れをとった!?――パレルモ 1-2 ミラン
【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「選手たちの本音からミランの根本的問題が見える」
【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「本田へのブーイング…その背景にある事情とは」
【移籍市場超速報】インテルはヨベティッチを獲得できるのか? ヤルモレンコはパリへ、ジニャクはモスクワへ?
【移籍市場超速報】アーセナル参戦もディバラ争奪戦はユーベが優位&インテルはA・アユー獲得で「伝説の父」と接触
セリエAは折り返しへ――ミラノ勢の凋落が顕著となった前半戦

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ