チーム戦力として足し算になっている補強がない
国内のサッカーシーンは1月4日のルヴァンカップ決勝で2020シーズンが終了し、シーズンオフに入ったね。話題はピッチ内からピッチ外、つまり移籍マーケットに移っている。
今オフで最大のビッグディールと言えるのが、昨季MVPと得点王を獲得したオルンガの中東移籍だろう。カタールのアル・ドゥハイルへ移籍して、もう試合にも出ているようだけど、シーズンを通じたコンスタントな活躍で28得点という実績を残しているだけに、お金のあるクラブが大金を積んででも欲しがるというのは当然だろうね。
ピッチ上で確固たる実力を示して、他のクラブから請われる形で移籍する――。これが海外移籍のあるべき姿だと僕は思っているけど、今回のオルンガの移籍はまさにそういうものだ。一方で、多くの日本人の若手の海外移籍は、エージェントが海外クラブに売り込んで、押し込むようなケースが目立つ。引退した内田篤人も若手の移籍について厳しい指摘をしていたけど、やっぱり移籍するならしっかりと結果を残して所属クラブも納得するようなオファーをもらって旅立ってほしいものだね。
さて国内の移籍を見ると、なんだかニュースになっているのは、峠を過ぎた元日本代表の移籍や契約更新の話題ばかり。結局、みんなが知っているからニュースにもしやすいんだろうけれど、逆に言えばJ1のレギュラークラスには、みんなが知っているような選手がいないということなんだろうね。日本代表の主力のほとんどが海外クラブに在籍していることを思えば無理もないけど、ワクワクするような補強がないのはちょっと寂しいよ。
クラブごとの補強状況を見ても、なかなかチーム戦力として足し算になっているところがない。川崎フロンターレもポルトガルのサンタ・クララに移籍した守田の後釜として、名古屋グランパスのシミッチを獲得したけど、これも結局は主力が抜けた穴埋めをしたに過ぎない。来季はACLも戦いながら連覇を狙うチームとしては、“補強”したとは言えないんじゃないかな。