幻のイングランド遠征、富山一・大塚監督が明かした心残り。「僕は3年生にサッカーの素晴らしさを伝えられたのか…」【選手権】

カテゴリ:高校・ユース・その他

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2021年01月03日

「いまの3年生が卒業してから、一緒に海外へ行って共有したい」

苦しみながらも初戦で日本文理大附を下した富山一。7年ぶりの全国制覇に意気が上がる。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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[高校選手権2回戦]富山一 2-1 日本文理大附/1月2日/等々力

 やはり選手権は、容易く勝たせてくれる舞台ではない。富山一(富山)の名将、大塚一朗監督はあらためてその現実を噛み締めていた。

 1月2日に等々力陸上競技場で行なわれた2回戦、富山一は初出場の日本文理大附(大分)と対峙した。前半8分にエースFW吉倉昇空(3年)のPKで幸先良く先制点を挙げ、同18分にはMF中川晟(2年)が左足で追加点をゲットして早々に2点をリードする。高い集中力でラッシュを決め込み、優位に試合を進めた。

 楽勝ムードさえ漂う攻勢のなか、前半30分に不用意なハンドでPKを与えて1点差に詰め寄られる。するとここから日本文理大附は堰を切ったように大反攻に転じ、富山一は何度かあわやの場面を創出されてしまうのだ。

 後半は激しさと本来のリズムを取り戻し、あくまで3点目を奪いにいくことで敵の攻撃をも封じ切った富山一。結果的に2-1で試合を終え、大塚監督は「自分たちで難しくしてしまった」と反省の弁を述べつつ、ホッと胸をなでおろした様子だった。

 その試合後のリモート会見では、報道陣からコロナ禍での一年をどう振り返るかと問われた。指揮官は神妙な面持ちで、こう切り出したのである。

「サッカーの素晴らしさを、今年の3年生たちに伝え切れただろうか。そんな想いが、僕のなかにはあります」

 富山一サッカー部には、春先の恒例行事がある。毎年3年生全員で行く、イングランド遠征だ。新チームの立ち上げ時にサッカーの楽しさを再認識しながら、人生の財産となりうる貴重な経験をしてほしい、本当のサッカーの素晴らしさを体験してほしい。そこには、大塚監督らスタッフの熱い願いとメッセージが込められていた。

 2年間コツコツと渡航資金を溜めてもらい、およそ2週間に渡ってロンドン郊外の寄宿舎で生活を共にする。ウェストハムやフルアムのユースチームと練習試合を重ね、現地英国の指導者からも直接レッスンを受け、ウェンブリーでの代表戦やプレミアリーグを観戦するなど盛りだくさんの内容だ。

 勝利だけがすべてではない。フットボールの聖地で本場の文化に触れながら、仲間との共同生活でかけがえのない人生の宝を共有してほしい──。

 だがそれは、コロナ禍にあって叶わなかった。

【選手権PHOTO】2回戦|富山一 2-1 日本文理大附|息詰まる攻防戦を富山一が辛くも制し、堂々ベスト16に進出!

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