19歳でベルギー2部のロンメルに完全移籍で買われた斉藤光毅には、いったいどんな将来性があるのだろうか。そのポテンシャルに太鼓判を押したのが、元日本代表ＦＷの福田正博氏だった。10月８日発売号の小誌「サッカーダイジェスト」で行なった「若手選手を囲むスペシャル座談会」で、ＭＣの平畠啓史氏が「ＦＷで先発した柏戦のゴールは落ち着いていましたよね」と振ると、福田氏は次のように話を広げた。

「僕も見ていて、そう感じました。あとは16節・名古屋戦（〇３－２）の33分のシーンね。ペナルティエリア内の右側でパスを受けて、ボールを浮かしてプレスにきた相手をかわし、そしてまた敵の逆を突いて、最後は松浦（拓弥）選手にラストパスを出した場面。結局、ゴールにはならなかったけど、あれは斉藤選手の良さが詰まっていた。まずパスを受ける時に視野を確保できる身体の向きになっていたし、相手をかわす技術が高くて、アイデアも秀逸。そして最後はシュートを打ちそうな局面でパス……あれを見て『多くの選択肢を持てているんだな』と感心したよ。相手に身体をぶつけてられてもバランスを崩さなかったしね」

　一方、もうひとりの座談会参加者である元日本代表ＦＷの播戸竜二氏は、「『見とけよ』というように闘争心に火がついてほしい」という愛情を込めたうえで、厳しい言葉をかけていた。斉藤の「プレミアリーグで活躍して、日本の顔になりたいです」という将来のビジョンに対するコメントである。

「『プレミアで活躍したい』というのはすごく良い目標だけど、海外に行くなら、その前にまずＪリーグで活躍してほしい。これは斉藤選手だけじゃなく、海外移籍の願望を持っている若手みんなに言えること。例えば２、３年連続で二桁得点をするとか、得点王を獲得するとか、確かな実績を残してから、しっかり評価をされたうえで海外に引き抜かれてほしい。僕がセレッソ時代に一緒にプレーした香川真司、乾貴士、清武弘嗣なんかは、海外に行く直前は、Ｊリーグでは誰も止められないくらいだったから」

　福田氏と播戸氏で分かれた斉藤への見方は、たぶん世論でも同じように千差万別の意見があると思う。筆者も将来有望なＦＷの才能を信じて止まないひとりだったが、こうして多様な声があると、実はロンメルへの完全移籍について懐疑の念を抱きかけていた。

　しかし、11月23日にオンラインのインタビューで話を聞くと、そんなネガティブな想いは消えた。

　移籍の真相、横浜ＦＣでの日々、ロンメルでの青写真を語ってくれた斉藤は、「これから海外に行くのは自分にとって良いことだと確信しています」と自信に満ちていた。

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