「ここはそうは甘くない!」英国人記者が考える日本人がプレミアリーグで成功するために必要なことは?【現地発】

カテゴリ:メガクラブ

スティーブ・マッケンジー

2020年11月28日

吉田麻也が成功できたワケ

プレミアリーグで唯一の日本人となった南野。クロップ監督(右)とはドイツ語で会話をしているようだが…。 (C) Getty Images

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 なぜプレミアリーグには日本人選手が一人しかいなくなってしまったのか?

 いま唯一、プレミアリーグでプレーしている南野拓実は、曲がりなりにも“王者”リバプールの一員だが、多士済々のアタッカー陣のなかで完全なバックアッパーに甘んじているのが現状だ。

 現在の日本人選手が十分な力量を持っていない、はたまた、日本人はそもそも以前からプレミアリーグに適していないのか――。この疑問の答はいくつか存在するだろう。

 ただ、私が考える最も高いハードルは言葉の壁だ。それはプレミアリーグに挑戦しようと志す日本人選手にとって小さくない問題になり得ると思っている。

 なぜなら各国から選りすぐりのエリートが集っているプレミアリーグは、試合だけが競争の場ではない。監督やテクニカルスタッフたちからの戦術的指示を消化し、日々の練習からアピールしなければならないからだ。

 これはどの国にも指摘できる点ではあるが、特に多くの外国人たちと競うプレミアリーグにおいては、共通語である英語でのスキルやコミュニケーション能力がより必要とされるのだ。

 もちろん技術的な面での英語力だけではない。チームメイトとの日常会話を積極的に交わすことも重要になる。己が部外者ではなくチームの輪にいることをアピールしなければ、次第に存在感は希薄になっていく。

 想像してみてほしい。自分だけが共通言語を使えない(または知らない)職場を。悩みや考えていることを打ち明けられずにストレスを溜め込むだけではないだろうか。そうした精神状況で、ピッチ上で結果を残せというのは容易ではない。

 吉田麻也はその点でいえば、成功者の部類に入る。12年の夏にオランダからサウサンプトンやってきた彼は、積極的にチームメイトとコミュニケーションをかわし、仲間の信頼を得ると、今年1月にサンプドリアへ移籍するまで、およそ7年半にわたって在籍。その間には腕章を巻き、獲得が至難とも言われるイギリスでの永住権も取っている。

 繰り返しになるが、プレミアリーグは世界中から成功を求める選手たちが集まる。それゆえに世界で最も過酷なリーグだと私は考えている。そのクオリティーは年々改善され、他リーグを凌駕しているこのリーグに、身体能力だけで食い込もうというのは、極まれな例だ。

 今や各国選手にとって狭き門になりつつあるプレミアリーグに入るために日本人は何をすべきか。私は、勢いで乗り込んでくるだけでなく、英語力などあらゆる面で力をつけ、ヨーロッパで生きていける自信を手にしたうえで、挑戦すべきだと考える。そうでなければ、Jリーグでキャリアを歩むことを考慮すべきだ。プレミアリーグはそうは甘くない。

取材・文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)

スティーブ・マッケンジー (STEVE MACKENZIE)
profile/1968年6月7日にロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでのプレー経験があり、とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からサポーターになった。また、スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国の大学で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝に輝く。

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