【岩本輝雄のプロフェッショナル採点】柏-仙台戦のポイントは鈴木、増嶋の組み立て力

カテゴリ:連載・コラム

岩本輝雄

2015年03月14日

柏――エドゥアルドの左足を有効活用したい。

前線の起点になるべく奮闘した工藤だったが「周りのサポートが少なくて孤立気味だった」(岩本)。 写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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【警告】柏=鈴木(44分)/仙台=金園(17分)、R・ロペス(64・76分)
【退場】仙台=R・ロペス(76分)
【MAN OF THE MATCH】渡部博文(仙台)

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 現役時代は平塚や仙台などでプレーし、自慢の左足で日本代表としても活躍した岩本輝雄氏が、元選手ならではの鋭い視点でJリーガーのパフォーマンスや監督の采配をリアルにジャッジ!!
 
 世界のサッカーにも精通し、国内外の戦術を研究する日々を送る“サッカーおたく”岩本氏の眼にはどのように映ったのか――。
 
 第3回は、J1第1ステージ・2節の柏対仙台を採点してもらった。
 
――◆――◆――
 
■柏レイソル■
 ――先発出場――
GK
21 菅野孝憲 6
決定的なシュートを何本か打たれたけど、安定感あるセービングを見せていた。CKから1失点したけど、それもGKにとってはノーチャンスのゴールだったし、その後のCKも危なげなく処理していた。
 
DF
27 キム・チャンス 5.5
太田とのコンビネーションや前に出て行く動きが今ひとつで、もっと縦に仕掛けられれば脅威を与えられるのではないだろうか。今日はパス、パスという感じで怖さが足りなかった。
 
鈴木大輔 6
貴重な同点ゴールでチームを救った。1対1の局面でも厳しく行っていたけど、気になったのは最終ラインからのビルドアップ。ほとんどハーフウェーラインを越えることがなかったけど、自分がドリブルで前に運ぶことで中盤の選手をもうひとつ前でプレーさせることができれば、攻撃に厚みが出て、柏はもっと強くなるはず。
 
増嶋竜也 5.5
前半のみの出場だったものの、ソツなくこなしていた。仙台の組織的な守備が中央を固めていたこともあるけど、そこに穴をうがつような効果的な縦パスが少なかった。それならば、相手を横に広げるようなサイドチェンジを繰り出しても良かったのではないだろうか。ボールをつないで崩していくことも狙いのひとつとする柏のサッカーにおいて、組み立ての面でCBがどれだけ効率的に関与できるかは重要なポイントだと思う。
 
22 輪湖直樹 5.5
わりと好きなタイプの選手だから、負傷退場は残念。小さいけどバネがあって、技術も高いし、今後が非常に楽しみ。クリスティアーノとの連係では息が合ってない時もあったので、そこは改善していってほしい。
 
MF
28 栗澤僚一 5.5
たくさんボールには触れていて、中盤3人でゲームを作ってはいたけど、プレーエリアが少し後ろ気味だったのが気になった。もっとも、それはチームのボール回しの循環を良くするためであって、致し方ない部分もあるけど、それだけで相手の堅い守りを崩すのは難しい。タイミングを計りながら2列目から飛び出していければ、ゴールの可能性を高められると思う。
 
茨田陽生 6
球捌きは良く、ミスも少なく、ボールの流れをスムーズにしていたと思う。彼が安定して力を発揮できていれば、柏のサッカーは大崩れしないはず。及第点の出来だった。
 
大谷秀和 5.5
三角形を作る動きで頻繁にパスを交換していたけど、栗澤と同様、怖さを与えるような動き出しはほとんど見られなかった。時にはダイレクトパスを織り交ぜて変化をつけようとしていたかもしれないけど、効果は薄かった。
 
FW
26 太田徹郎 5.5
3トップの右サイドで先発し、途中からインサイドハーフで起用されて、フル出場。両チーム通じて最多の3本のシュートを打っているにもかかわらず、正直、心に引っ掛かるプレーはほぼなし。ふたつのポジションで計算できる貴重な戦力だとは思うけど、勝負を左右するような働きができていたかと言えば、疑問が残る。
 
工藤壮人 5.5
縦パスを収めて前線の起点になろうとしていたけど、2枚のインサイドハーフや両ウイングとの距離感が悪く、周りのサポートが少なくて孤立気味だった。守備重視の仙台が相手では思うようにプレーできなかったと思う。
 
30 クリスティアーノ 5.5
フィジカルの強さは感じられたけど、いつどこでドリブルを仕掛けるかの選択がやや甘かった気がする。たしかにタッチライン際でその突破力を見せつけてはいたけど、ゴールから離れているだけに、相手をそこまで慌てさせることにはならなかった。
 
――途中出場――
DF
山中亮輔 6
惜しくもゴールには結びつかなかったけど、工藤に合わせたクロスは完璧だった。それ以外でも、果敢にオーバーラップして何本か好クロスを供給して、左サイドの攻撃を活性化させていた。
 
DF
13 エドゥアルド 5.5
可もなく不可もなく。終了間際にゴールに近い距離でのFKのチャンスがあったけど、蹴らないにせよ、キッカーの傍に立ってほしかった。あの時間帯のペナルティエリア近くのFKに対して、壁は絶対にジャンプするもので、キッカーがひとりだとGKも壁も準備がしやすい。だけど、セットされたボールにキッカーがふたり立つことで、相手のGKや壁に迷いを生じさせることができる。一方が思い切り蹴るフリをして、一方がカーブをかけると、壁を超えて決まることがけっこうある。そういう面でも彼の“左足”を有効に利用したい。
 
FW
10 大津祐樹 5
期待していたけど、特大のインパクトは放てなかった。ボールをもらってもバックパスが少なくなく、もっと強引に突っかけてほしかった。コンディションにまだ問題があるのか、本来の実力を半分も出し切れていなかったと思う。
 
監督
吉田達磨 5.5
ポゼッションは監督が求めているレベルには近かったけど、最後の仕上げの部分には本人も納得していないのではないか。バイタルエリアに運んでからいかにゴールをこじ開けるかを今後は詰めていかなければならないと感じた。
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