下町の伝統とマッチしながら愛されるクラブに…“リアル南葛SC”が推し進める地域密着

カテゴリ:連載・コラム

伊藤 亮

2020年10月12日

Jリーグ入りを目指す南葛SCにとって、今から積極的な地域活動を進めることは決して早くない

地域イベントに参加した選手たち。クラブとしても積極的に地域の活動に参加している。写真提供:南葛SC

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クラブの地域活動について説明してくれた田山GM補佐と社員選手の佐々木竜太。南葛SCを支える地域の魅力について語った。

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 今年2月。南葛SCはJリーグから「百年構想クラブ」として承認された。これでクラブ内外にJリーグ入りを目指す本気度を示したことになる。

 ピッチでは、カテゴリーをひとつずつ上げていくことが目標になる一方、ピッチ外ではJリーグ理念でもある「地域密着」をこれまで以上に進める必要がある。

 地道で時間を要する「地域密着」を、クラブはどのように進めているのか。実際に現場で動く2人のキーマンに話をうかがった。

――◆――◆――

 現在、南葛SCのクラブ事務所は葛飾区役所からほど近くの立石にある。最寄り駅の京成立石駅前の商店街を歩くと、南葛SCのフラッグやポスターが駅の壁面や外灯の柱、店舗の軒先に掲出されている。存在感はかなりのものだ。この風景を見るだけで、南葛SCが葛飾区の中で市民権を得つつあるのが理解できる。

「地域のイベントへも参加します。声をかけるのは自分たちからと先方からと、両方のケースがあります」

 資料を出しながらそう話してくれるのは南葛SCのGM補佐、田山義高氏だ。岩本義弘GMのサポート役として、南葛SCのピッチ内外のあらゆる現場に顔を出し、クラブの現状を把握することに努めている。

 見せていただいた資料には、高校、小学校、幼稚園との交流や商業施設で行なわれたサッカー教室イベント、コミュニティでの夏祭りなど、多岐にわたる活動の様子が選手たちの笑顔の写真付きでまとめられていた。

「地域のイベントは人脈を通じて話をいただくことも少なくありません。一方、小学校や幼稚園へは、区の教育委員会から校長会を通じて南葛SCがサッカー教室を行う旨を周知してもらっています。その後、興味を持っていただいたら直接連絡をいただいて日程を調整していきます。学校では授業の一環として行ってもらうので、サッカーの授業が行なわれる冬の季節にオファーが集中します」

 今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響もありイベント機会は激減したが、昨年で言えば月に1度ほどの頻度で行なった。とはいえ社会人チームなので選手全員が参加できるわけではない。仕事の都合と照らし合わせ、予定が合う選手のみでの実施になる。調整は難しいが、それでも行なうのは「地域密着」を推進するために他ならない。

「小学校などでの活動を行なったことで、すぐに大きな反響が出るわけではありません。でも交流した子どもたちが大人になった時に、“あの時の南葛SCだ”と思ってもらえるようになれば。葛飾区内で地域密着を目指しているスポーツクラブとして南葛SCの存在感が少しずつ出てきていれば嬉しいです」

 毎年年初に行なわれる『キャプテン翼CUP』は、全国からジュニアチームが集い、また豪華ゲストによるエキシビジョンマッチも行われる一大イベント。葛飾区の冬の風物詩として定着しているが、この大会も南葛SCは手伝っている。さらに「かつしかFM」では週1回の番組を持ちクラブ情報を発信している。

「葛飾区で開催されるスポーツフェスタがあるのですが、リーグ日程と相談しながらの参加を考えたり、総合型スポーツクラブと一緒に行う活動を模索したり。今年はなかなか実現できていないですが、自分たちだけで動くというより、同じ葛飾区内で一緒にやっていきましょう、という仲間意識でやってます」

 地域密着は一朝一夕にしてならない。前々から地道に種を蒔き、長い時間をかけて芽吹かせ、じっくり根を張って枝葉を伸ばし、花を咲かせる。東京都社会人サッカーリーグ1部といえどもJリーグ百年構想クラブ。Jリーグ入りを志すのであれば、リーグ理念である「地域密着」を実現させるために、現時点で積極的な地域活動を進めることは決して早くないのだ。

「影響度の高さを感じたのは区が月に3回発行している『広報かつしか』という広報誌ですね。ここで南葛SCが紹介されると、サッカーに興味のない方にも認知してもらえるんです。一度、まったく脈絡のないところで会話に『南葛SC』の名前が出てきたことがあって。確認したら広報誌を読んで知っていると。僕も家庭を持って気付いたことですが、特に家族のいる世帯の方々は、地元の広報誌を気にするようになるんですよね」

 まだまだ手探り状態は続くし手弁当でもある。だが、多岐にわたる活動を通じて初めて知ることもある。たしかに「共働き子育てしやすい街ランキング2019」(日経DUAL・日本経済新聞社調べ)で1位に輝いた葛飾区であれば、広報誌の影響力が大きいのもうなずけよう。
 

葛飾区で行なわれた防災イベントでのひとコマ。多くの子どもたちが参加してくれた。写真:南葛SC

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