連係、意思疎通も申し分なく、密集地でのパスワークもスムーズ!!
1)趨勢を決した史上最速の退場劇
試合の趨勢を決したのは、チャンピオンズ・リーグ史上最速となる退場劇だった。
シャフタールのCBクチェルが、エリア内に進入したゲッツェを倒すファウルを犯し、わずか3分でピッチを後にしたのだ。第1レグをスコアレスドローで切り抜け、自信を深めていたアウェーチームにとっては文字通りの痛恨で、仮に直後のPKを防いでいても、勝ち上がりの芽は膨んでいなかったはずだ。
実際、その後のピッチで繰り広げられたのは、バイエルンが一方的に攻め込むワンサイドゲームだった。人もボールも動く自慢のパスワークで主導権をがっちりと掴んだドイツ王者は、守備ブロックを揺さぶるサイドチェンジを主武器に、引いて守るシャフタールを難なく攻略した。
終わってみれば、大量7得点を奪う圧巻のゴールショーを披露したバイエルンが、大会最多14回目となるベスト8進出を果たした。
2)第1レグの不出来を帳消しに
右足首の故障で交代を余儀なくされた59分まで、バイエルンの攻撃陣を牽引したのはリベリ。左サイドのタッチライン際に張り付かず、頻繁に中央部へ侵入してはボール回しの潤滑油となり、長短自在の正確なパスを幾度となく繰り出した。
特に冴えていたのが、ラフィーニャへのボール供給。19分にロッベンが負傷交代しても、右サイドからの攻撃力が著しく下がることがなかったのは、この右SBの攻撃参加をうまく活用していたからだ。
リベリのハイライトはパスだけではない。49分にはアラバとのワンツーで敵のゴール前まで進入すると、右足を振り抜いてチーム3点目をゲット。その2分後にはミュラーのゴールに結びつく縦への鋭い突破を見せるなど、低調だった第1レグのパフォーマンスからは一転、キレのあるプレーを随所に見せつけた。
3)引いた相手を崩した多彩な攻め
ニアサイド、中央部、ファーサイドと蹴り分けていたCKを含め、バイエルンが繰り出した攻撃は多彩だった。
リベリやアラバが鋭いドリブル突破を見せれば、レバンドフスキやミュラーを標的としたラフィーニャのクロスや、敵2ライン(DFとMF)間のギャップを突くシュバインシュタイガーの縦パスが冴え渡る。
選手同士の連係や意思疎通は申し分なく、人が密集するバイタルエリアでのパス交換などもスムーズだった。
なかでも引き出しの多さを感じさせたのは、34分に決まった2点目。相手エリア内まで攻め上がったボアテングが、右サイドからのクロスに打点の高いヘッドを合わせると、そのこぼれ球を最後はみずから叩き込んだ。
シャフタールの選手全員が自陣深くまで引き、カウンターを浴びるリスクが小さかったとはいえ、流れのなかで2人のCBのうちの1人が最前線まで飛び出す仕掛けは意外性十分だった。
4)完璧だったバイエルンの“玉にキズ”
敵将ルチェスクに「言うことはほとんどない。大敗して悲しい」と言わしめるほど、結果も内容もほとんどパーフェクトだったバイエルンの“玉にキズ”は、バドシュトゥバーとボアテングの両CBが警告を受けたことくらいか。
バドシュトゥバーは相手のショートカウンターを防ぐ目的の意図的なファウルを、後者はリベリを後ろから小突いたD・コスタに猛抗議した姿を咎められた。
特に悔やまれるのは、ボアテングのほうだ。頭に血が上りやすく、不要なカードを提示されがちな悪癖を改めて露呈してしまった。
文:遠藤孝輔
【写真で回想】バイエルン栄光のCL史
試合の趨勢を決したのは、チャンピオンズ・リーグ史上最速となる退場劇だった。
シャフタールのCBクチェルが、エリア内に進入したゲッツェを倒すファウルを犯し、わずか3分でピッチを後にしたのだ。第1レグをスコアレスドローで切り抜け、自信を深めていたアウェーチームにとっては文字通りの痛恨で、仮に直後のPKを防いでいても、勝ち上がりの芽は膨んでいなかったはずだ。
実際、その後のピッチで繰り広げられたのは、バイエルンが一方的に攻め込むワンサイドゲームだった。人もボールも動く自慢のパスワークで主導権をがっちりと掴んだドイツ王者は、守備ブロックを揺さぶるサイドチェンジを主武器に、引いて守るシャフタールを難なく攻略した。
終わってみれば、大量7得点を奪う圧巻のゴールショーを披露したバイエルンが、大会最多14回目となるベスト8進出を果たした。
2)第1レグの不出来を帳消しに
右足首の故障で交代を余儀なくされた59分まで、バイエルンの攻撃陣を牽引したのはリベリ。左サイドのタッチライン際に張り付かず、頻繁に中央部へ侵入してはボール回しの潤滑油となり、長短自在の正確なパスを幾度となく繰り出した。
特に冴えていたのが、ラフィーニャへのボール供給。19分にロッベンが負傷交代しても、右サイドからの攻撃力が著しく下がることがなかったのは、この右SBの攻撃参加をうまく活用していたからだ。
リベリのハイライトはパスだけではない。49分にはアラバとのワンツーで敵のゴール前まで進入すると、右足を振り抜いてチーム3点目をゲット。その2分後にはミュラーのゴールに結びつく縦への鋭い突破を見せるなど、低調だった第1レグのパフォーマンスからは一転、キレのあるプレーを随所に見せつけた。
3)引いた相手を崩した多彩な攻め
ニアサイド、中央部、ファーサイドと蹴り分けていたCKを含め、バイエルンが繰り出した攻撃は多彩だった。
リベリやアラバが鋭いドリブル突破を見せれば、レバンドフスキやミュラーを標的としたラフィーニャのクロスや、敵2ライン(DFとMF)間のギャップを突くシュバインシュタイガーの縦パスが冴え渡る。
選手同士の連係や意思疎通は申し分なく、人が密集するバイタルエリアでのパス交換などもスムーズだった。
なかでも引き出しの多さを感じさせたのは、34分に決まった2点目。相手エリア内まで攻め上がったボアテングが、右サイドからのクロスに打点の高いヘッドを合わせると、そのこぼれ球を最後はみずから叩き込んだ。
シャフタールの選手全員が自陣深くまで引き、カウンターを浴びるリスクが小さかったとはいえ、流れのなかで2人のCBのうちの1人が最前線まで飛び出す仕掛けは意外性十分だった。
4)完璧だったバイエルンの“玉にキズ”
敵将ルチェスクに「言うことはほとんどない。大敗して悲しい」と言わしめるほど、結果も内容もほとんどパーフェクトだったバイエルンの“玉にキズ”は、バドシュトゥバーとボアテングの両CBが警告を受けたことくらいか。
バドシュトゥバーは相手のショートカウンターを防ぐ目的の意図的なファウルを、後者はリベリを後ろから小突いたD・コスタに猛抗議した姿を咎められた。
特に悔やまれるのは、ボアテングのほうだ。頭に血が上りやすく、不要なカードを提示されがちな悪癖を改めて露呈してしまった。
文:遠藤孝輔
【写真で回想】バイエルン栄光のCL史