アタランタの「恐ろしい攻撃力」がCLでも猛威! 大量得点できる戦術的な強みとは?

カテゴリ:ワールド

片野道郎

2020年03月11日

シュート数は5大リーグでナンバー1だ。

ゴメス(10番)を中心とするアタランタの攻撃力は、いまや欧州屈指だ。(C)Getty Images

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 セリエAではもちろん、おそらくヨーロッパ全体を見回しても、現在のアタランタほどスペクタクルで攻撃的な、観る者を楽しませるチームは稀だろう。
 
 それを端的に表わしているのが、セリエA25試合で70得点という恐ろしいほど爆発的な攻撃力。1試合平均で2.8ゴールは、バルセロナ、マンチェスター・C、パリSGという各国最多得点クラブを上回り、5大リーグ全体で見てもバイエルンに次ぐ2位だ。
 
 初出場したチャンピオンズ・リーグ(CL)では、奇跡的な勝ち上がりで決勝トーナメントに進出。バレンシアが相手だったラウンド・オブ16では2試合連続で4ゴール(4-1、4-3)を奪い、ベスト8に勝ち上がった。
 
 攻撃力を示すもうひとつの指標であるシュート数に至っては、1試合平均20.1本、枠内シュート7.9本で、いずれも5大リーグでナンバー1だ。
 
 近年は変化の兆しが見えるとはいえ、伝統的に守備的なメンタリティーが幅を利かせてきたセリエAで、5-0や7-0といったハイスコアゲームを連発するアタランタは、もはや「異端」と呼ぶべき存在だ。
 
 どんな相手にも自分たちのスタイルを貫いて戦うその姿勢はもちろん、マンツーマンディフェンスをベースとする中盤フラットの3-4-3システムという戦術そのものも、4バックのゾーンディフェンスが完全にスタンダードとなった現代サッカーにおいては数少ない例外だ。
 
 アタランタを率いるジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督は、足かけ8シーズンに渡って率いたジェノア時代から10年以上に渡って一貫し、攻撃と守備の両面において他にはない独自の特徴を持つこの3-4-3システムを磨き続けてきた。
 
 そして、アタランタで4年目を迎えた今シーズン(正確には昨シーズン半ばから)は、アレハンドロ・ゴメスやヨシプ・イリチッチなど攻撃陣のタレントの個性とクオリティーを最大限に引き出すべく、ゴメスをトップ下に置いた実質3-4-1-2へと「進化」している。
 
 攻撃の局面における最大の特徴は、左右のCB、4枚のMF、そして前線のアタッカーによって形成する縦長のロンボ(菱形)によってサイドに数的優位を作り出し、少ない手数でシステマチックにボールを敵陣に運ぶビルドアップ。ピッチを縦に3分割した時の
ゾーン別ボールタッチ数を見ても、右サイドが39㌫、左サイドが37㌫に対して中央が24㌫と、他のチームと比較してサイドを使う比率が高い。
 
 長年ガスペリーニサッカーの基本となってきた3-4-3において、ロンボの頂点を形成するのは3トップのウイングだった。しかし今シーズンの3-4-1-2では、2トップの1人がサイドに流れてこのポジションを取り、さらにそこにトップ下のゴメスが絡むことで、ボールサイドにさらなる数的優位を作り出している。
 
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