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長谷部誠、鎌田大地所属のフランクフルト、ホーム戦で立見席がガラガラに…。ブンデス随一のサポーターに、いったい何が?【現地発】

カテゴリ:ワールド

中野吉之伴

2020年03月05日

「月曜日の試合」に反旗!

普段は満員のサポーターで埋め尽くされているホーム側のゴール裏。この日だけはガラガラだった。 (C) Getty Images

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 不思議な静寂さが漂っていた。

 いつもの音楽もない。声高なアナウンスもない。スタジアムDJは抑揚なくスタメンを読み上げるだけ。

 フランクフルトがウニオンベルリンをホームに迎えたリーグ戦での出来事だ。月曜日の試合開催に度々反発してきたフランクフルトのサポーター集団・ウルトラスが、この試合の応援をボイコット。ゴール裏にはMontag(ドイツ語で月曜日)の文字の上に赤字が引かれた横断幕が置かれているのみで、7500席分の立見席は無人のままだった。

 抗議の矛先は、試合の開催日に関してだ。ドイツのサッカーファンにとって、ブンデスリーガの試合というのは「土曜日15時半開始」が伝統とされている。日常のストレスを忘れ、チームを愛する仲間とともに、ソーセージとビールをそれぞれ手に持って集う。そして、スタジアムの雰囲気を堪能することが、彼らにとって大事な習慣だ。

 近年は、チャンピオンズ・リーグやヨーロッパリーグ開催日程がテレビ放送の予定優先で決まり、逆算でリーグの日程が変則的に決まることが増えた。ファンからすれば、毎週同じペースで同じ曜日の同じ時間に試合会場へ向かうという、これまでの当たり前ができなくなってきてしまっている。

 だが、果たして今回のこのボイコットはどこまで意味のあることだったのか、とドイツの新聞は疑問を投げかけている。なぜなら、月曜日開催に関しては、各チームファンからの批判が殺到した結果、来季から行なわれないことが決定しているからだ。

通常であればサポーターで埋め尽くされているスタジアム。 (C) Getty Images

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 このボイコットについて、「ファンにとって望ましくない開催日時への抗議を、リスペクトするため」とクラブサイドは発表している。だが今回の抗議の仕方は、そう評価するに相応しいものだったのかどうか。普段通りにスタジアムに集まっていた一般ファンの間では、ボイコットの理由についての説明がアナウンスされると、大きなブーイングが起こったほどだ。

 特に、フランクフルトは熱狂的なファンを多数抱えている。その熱い思いが膨れ上がるホームは、まさに聖地だ。どんな時でもチームを後押しする力強い声に、クラブが何度背中を押されてきたことか! 規約を破って罰則を受けたわけでもないのに、ホームでその大事なサポートを失ったことが残念だった。

 試合には1-2で敗れ、フランクフルト監督のアディ・ヒュッターは、試合後の記者会見でこう述べた。

「後半、いつも通りゴール裏から応援があれば、チームには間違いなくパワーが加わり、同点、それどころか逆転の可能性もあったのではないかと思う。彼らの決断はリスペクトする。ただ、彼らが今日90分間試合から離れるという決断をしたのは残念だった」
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