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【消えた逸材】放送禁止用語を口にするなど愚行を繰り返し…。うつ病を患って輝きを失ったチェコの天才はいま?

カテゴリ:ワールド

遠藤孝輔

2020年01月31日

デビュー戦でいきなり3ゴールの離れ業

U-20ワールドカップでその名を轟かせ、フランクフルトに移籍。ドイツでの幸先は悪くなかったが……。 (C)Getty Images

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 16歳の時に母国チェコのテプリツェでプロデビューしたマルティン・フェニンが、世界にその名を轟かせたのは2007年。エースとして臨んだU-20ワールドカップで輝いた。

 圧巻だったのはファイナルでの先制点だ。ゴールに背を向けた状態で横パスをトラップすると、やや浮いた球を反転ボレーで捉え、セルヒオ・アグエロ擁するアルゼンチンのネットを揺らしてみせたのだ。

 その後の2失点で優勝には導けなかったが、抜群のシュートセンスを備えるストライカーの登場に、ヨーロッパ中のメガクラブが色めき立った。

 ユベントス、リバプール、アーセナルなどからの関心が報じられる中、フェニンは07年12月にフランクフルトへの移籍を決断する。つねに満員御礼となるホームスタジアムと、出番が多そうな環境に惹かれたのが理由だった。

 そして、いきなり離れ業をやってのける。デビュー戦となった08年2月のヘルタ・ベルリン戦でドライアーパック(3ゴール)を記録したのだ。続くビーレフェルト戦でも決勝点を挙げたフェニンは、右ウイングのレギュラーに定着。14戦不発と壁にぶち当たりもしたが、最終節に2ゴールを奪い、移籍1年目を笑顔で締め括った。

 翌08-09シーズンは開幕からフル稼働。フリードヘルム・フンケル監督が志向したカウンター主体のサッカーと、自身の持ち味であるスピードの相性が良く、5得点・11アシストの好成績を収めた。

 未来は明るい——。そう思われたフェニンのキャリアがここから転落するなど、当時はだれも知る由がなかった。
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