偉大なキャプテン、ジェラードに相応しい最高の幕引きは―― 【リバプール番記者】

カテゴリ:メガクラブ

ジェームズ・ピアース

2015年01月10日

偉大なプレーヤーというだけでなく偉大なリーダーでもあった。

今年に入り、プレミア(レスターに2-2)、FAカップ3回戦(ウィブルドンに2-1)と、チームの全得点を決めているジェラード。この先、ピッチ上で結果を出せば出すほど、ファンは喜びと同じぐらい寂しさと喪失感を感じることだろう。 (C) Getty Images

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 リバプールにとってスティーブン・ジェラードはどれほど重要な存在か、それを言葉にするのは容易ではない。
 
 ジェラードは真のワールドクラスだ。全盛期の彼は、地球上でもっとも完成されたMFだった。スピード、パワー、ダイナミズム、正確無比の長短のパス、切れ味鋭いシュート。すべての資質を持ち合わせた最強のMFだった。
 
 過去17年、リバプールを背負ってきたのがジェラードだ。ピッチの中で、時にはその外でも、チームの誰もがジェラードにインスピレーションを求めた。そしてジェラードは、つねにその期待に応え、リバプールを勝利に導いた。
 
 34歳になり、スピードとパワーは衰え、以前のようなダイナミズムは失われた。縦横無尽にピッチを駆け回り、試合を支配することはできなくなった。それでも、チームに及ぼす影響力は、他の誰よりも大きい。ジェラードはリバプールにとって唯一無二のアイコンなのだ。
 
 そんなジェラードが今シーズン限りでリバプールを退団する。巨大なその穴を、リバプールは簡単に埋められない。ただ単にひとりの偉大なプレーヤーを失うだけではない。偉大なプレーヤーにして偉大なリーダーを失うのだ。
 
 2003年にキャプテンの腕章を受け継いだジェラードは、クラブ史上最長でその重責を果たしてきた。彼が口を開けば、周囲のすべての人間が耳を傾ける。妥協を許さないプロ意識に誰もが魅せられ、リスペクトした。
 
 取材対象としても、ジェラードはまさに唯一無二の存在だった。当たり障りのない、紋切り型の答を返すだけの昨今の選手(メディア対策でそのように訓練されている)とは違って、ジェラードは自分の考えをはっきり口にする。つねに正直で、自分に対してもっとも厳しい批評家だ。だからジェラードと向き合うインタビューは、私にとってかけがえのない機会だった。
 
 ジェラードの退団は、ファンを含めクラブを取り巻くすべての関係者に大きなショックを与えた。サポーターの多くは、首脳陣に対して怒りを覚えている。慰留できなかった非を咎めているのだ。
 
 たしかに、契約更新に向けてクラブの動きは鈍かった。ジェラードも昨夏のうちに契約延長の提示があれば、サインをしていたはずだと、私とのインタビューでそう話した。リバプールが更新を打診したのは11月下旬だった。
 
 とはいえ、ジェラードはそれが理由でチームを離れる決心をしたわけではない。クラブとの関係は良好だ。退団を決めた最大の理由は、求められる役割が変わったからだ。
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