スペイン代表監督のポストを巡る騒動が泥沼化。デル・ボスケ待望論が意味するものとは

カテゴリ:ワールド

ワールドサッカーダイジェスト編集部

2019年11月30日

いまは「夢物語」にすがるしか…

親友でもあった前監督を追い出す形でスペイン代表監督に再任したルイス・エンリケ(中央)。(C)Getty Images

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 ルイス・エンリケとロベルト・モレーノの確執に端を発したスペイン代表の監督交代を巡る騒動が、ますます泥沼化している。

 ルイス・エンリケの復帰とモレーノの退任を発表した記者会見で、スペイン・サッカー連盟のルイス・ルビアレス会長は騒動の鎮静化に努めはした。ふたりが不仲に至った理由については「ルイス本人に聞いてほしい」と繰り返し、またその翌日には、モレーノも感謝の気持ちと別れを強調した声明を発表するだけで、真相は藪の中。もちろん、最後の主役であるルイス・エンリケの発言に注目が集まったが、過去のことは水に流すという常套手段で切り抜けるのではないかというのが、大方の予想だった。

 しかしルイス・エンリケは、11月27日の復帰記者会見で冒頭から前監督の振る舞いを「不誠実」と激しく非難。その過剰な野心が確執の根源であることを白日の下に晒した。

 名誉の回復のために新たな対応策を講じざるを得なくなったモレーノはその翌日、急遽記者会見を開く。ただその手法は質問は一切受け付けずに、あらかじめ用意されたコメントを読むという一方的なもの。一定の反論は示しながらも、核心に踏み込むことはしなかった。
 
 三者の見解は食い違っており、完全に水掛け論になっている。

 ロシアW杯開幕2日前の「ジュレン・ロペテギ電撃解任劇」がまだ記憶に新しい中で、またしても新たな騒動がスペイン代表に勃発した。しかもルイス・エンリケとモレーノは、ローマ、セルタ、バルセロナ、そしてスペイン代表でタッグを組んだ盟友としてだけではなく、家族ぐるみの付き合いもある親友同士としても知られていた。

 代表監督のポストを巡った両者の対立は、現地では当然ながら大きな関心を集めているが、同時にスペイン・サッカーのイメージ悪化を懸念する声も高まっている。

 そんな中、どことなく噴出しているのが、ビセンテ・デル・ボスケの復帰待望論だ。2010年W杯とEURO2012を制した名将であるが、同時に温和な性格と卓越した調整力を併せ持っていた彼が指揮していた当時のスペイン代表は、チームを取り巻く雰囲気も平穏で良好だった。

 現実問題としてEURO2016を最後に勇退して以来、現場から離れているデル・ボスケの復帰の可能性は皆無に近い。それでも夢物語にすがろうとするその姿に、繰り返しお家騒動を見せつけられているスペイン人の嘆きの声が聞こえてくるようだ。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部
協力●下村正幸
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