驚くべき香川の順応能力
香川真司がレアル・サラゴサに移籍してからおよそ2か月が過ぎた。
チームはセグンダ(2部)8節を終えた段階で、1試合未消化ながら4勝3分けで無敗を維持し、勝点15で3位につけている。まだ気が早いが、2012−13シーズン以来のプリメーラ(1部)復帰に向けて、まずまずのスタートを切ったと言えるだろう。
かねてから「憧れ」と公言していたスペインの地に足を踏み入れた香川も、おそらくは大幅な減俸を受け入れて加入したチームのなかで、7試合に出場して2得点と結果を残し、確かな地位を築いている。
ここでは、サラゴサの序盤戦の戦いと日本代表MFの役割を見ていく。
―――◇―――◇―――
今シーズン、サラゴサは開幕戦こそ4−2−3−1で臨んだが、基本フォーメーションは4−3−1−2だ(場合によって使い分けている)。ボールを大事に持ち、アバウトなロングボールは少ないものの、攻撃の起点となるイニゴ・エグアレスとハビ・ロスに預けると、まず見るのは最前線。ラファエル・ドゥワメナとルイス・スアレスという、スピードとパワーを有した2トップに送り込むことが最優先タスクとなっている。
明確なビルドアップの形はないが、基準は一番前という、分かりやすい流れが構築されている。前線に大きなスペースがある場合は、2トップだけでゴールを脅かせるというのが強みだ。
チームはセグンダ(2部)8節を終えた段階で、1試合未消化ながら4勝3分けで無敗を維持し、勝点15で3位につけている。まだ気が早いが、2012−13シーズン以来のプリメーラ(1部)復帰に向けて、まずまずのスタートを切ったと言えるだろう。
かねてから「憧れ」と公言していたスペインの地に足を踏み入れた香川も、おそらくは大幅な減俸を受け入れて加入したチームのなかで、7試合に出場して2得点と結果を残し、確かな地位を築いている。
ここでは、サラゴサの序盤戦の戦いと日本代表MFの役割を見ていく。
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今シーズン、サラゴサは開幕戦こそ4−2−3−1で臨んだが、基本フォーメーションは4−3−1−2だ(場合によって使い分けている)。ボールを大事に持ち、アバウトなロングボールは少ないものの、攻撃の起点となるイニゴ・エグアレスとハビ・ロスに預けると、まず見るのは最前線。ラファエル・ドゥワメナとルイス・スアレスという、スピードとパワーを有した2トップに送り込むことが最優先タスクとなっている。
明確なビルドアップの形はないが、基準は一番前という、分かりやすい流れが構築されている。前線に大きなスペースがある場合は、2トップだけでゴールを脅かせるというのが強みだ。
その最前線が防がれた時に、選択肢になるのが香川である。いずれのシステムでもトップ下に入り、相手のDFラインと中盤の間、いわゆるバイタルエリアでボールを受ける。その狭いエリアでボールを収め、次の局面へと展開する力は、セグンダのなかでも図抜けている印象だ。
さらには、香川の順応力にも驚かされる。
プリメーラに比べて技術的に見劣りするセグンダは、なんでもない状況でのパスやトラップのミスが散見する。そうなった際には、イーブンのボールを奪い合う、激しい接触プレーが起きる。怪我が起きかねない肉弾戦だ。
事実、4節のアルコルコン戦ではそうした場面が度々見られた。また、最初の2~3試合までは、香川の頭上を超えるロングボールが頻発し、その存在感が消えることもしばしばだった。
だがそんななかでも香川は、相手DFとのコンタクトを恐れずにバイタルエリアに飛び込み、集中的に狙われてもおかしくない場所でボールを収め、鋭いターンで前を向いてはチームを前進させた。5節のエストレマドゥーラ戦でシーズン2ゴール目を決めたあとは、チームも確度の低いロングボールを頻繁に蹴るより、まずは、日本代表MFにパスを繋げて、展開を落ち着かせる場面が増えた。
香川がチームからの信頼を得ているのは、技術の高さはもちろん、小柄ながら肉弾戦でも危険を厭わずにプレーできる勇気を持っている点が、大きな要素なのだろう。