クライフは「他のクラブではできない」
世界に冠たるバルセロナは、独特のプレーモデルを持っている。徹底してボールをつなぎ、その技術の高さを頼りに周りが動き、ゴールに迫る。下部組織であるラ・マシアからトップチームまで一貫。そのオートマチズムの高さによって、彼らは強さを誇ってきたのだ。
そのバルサのトレーニングメソッドは、世界中で研究されている。日本でも、同様だろう。
しかしながら、同じことを実現させたチームは皆無に等しい。オランダのヨハン・クライフが植え付けたプレーモデルだけに、その本家であるアヤックスが唯一、同等のレベルにあるだろう。他は、できたとしても一過性のものと言える。
そのバルサのトレーニングメソッドは、世界中で研究されている。日本でも、同様だろう。
しかしながら、同じことを実現させたチームは皆無に等しい。オランダのヨハン・クライフが植え付けたプレーモデルだけに、その本家であるアヤックスが唯一、同等のレベルにあるだろう。他は、できたとしても一過性のものと言える。
「他のチームで、(バルサと)同じことはなかなかできない」
実はバルサの監督を解任された後、クライフはそう洩らしている。当時、多くの監督オファーを受けているが、すべて断った。バルサのサッカーは、どこでも可能なわけではないからだ。
バルサのサッカーは、バルサというクラブ規模、下部組織の土台、そして所属選手たちの抜きん出た能力のおかげで成立していた。技術の足りない選手やオートマチズムに適応できない選手がいる状況では、とても成り立たない――。それがクライフの答えだった。
結局のところ、選手が戦術を動かす。
例えばJ1リーグ、横浜F・マリノス対ヴィッセル神戸の一戦も典型だった。横浜はアンジェ・ポステコグルー監督が、明確な攻撃戦術を志向。高い位置でボールを持ちながら、手数をかけてリスクを背負い、攻撃を重視したプレーを信条としている。しかし、この日はビルドアップでプレッシングに遭い、ボールをつなげず、苦しい展開。守りの弱さの方が出ていた。
それが後半、一変している。三好康児、天野純という二人の優れたボールプレーヤーを投入すると、面白いようにボールが回り始めた。そして神戸を翻弄し、4-1で圧勝を収めたのである。
二人の選手で、まるでプレーが変わった。もっとも、それが最適解かは分からない。