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【現地発】ユベントス加入の19歳デリフト、「象のように鈍足だった」男がいかにして一流DFに上り詰めたのか

カテゴリ:連載・コラム

エル・パイス紙

2019年07月25日

1年間限定でMFとしてプレー

オファーが殺到するなか、ユーベへの移籍を決断したデリフト。イタリアの絶対王者で定位置奪取に挑む。(C)Getty Images

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 今は亡きヨハン・クライフは、選手育成についてこんな疑問を呈したことがあった。
 
「ゴルフにはパット専門のコーチがいれば、スイング専門のコーチ、メンタル専門のコーチがいる。だったらどうして、サッカーの監督やコーチは全てを受け持たなければならないんだ」
 
 アヤックスでは2012年から17年にかけて「プラン・クライフ」と呼ばれる育成プロジェクトが実施された。その際に重要な指針となったのが、このクライフの言葉だった。
 
 アヤックス・アカデミーの練習場「デ・トトゥーコムスト」には05年の柔道世界選手権のチャンピオン、ギヨーム・エレモント、01年の世界陸上競技選手権大会で棒高跳び6位入賞を果たしたクリスティアン・タミンガ、06年のヨーロッパ陸上競技選手権大会で800メートル競走1位に輝いたブラム・ソムなど錚々たる面々がコーチとして呼ばれ、それぞれの専門分野の指導に当たった。そしてソムがつきっきりで指導を行ったのが、マタイス・デリフトだった。
 
 そう、7月18日にアヤックスからユベントスへの移籍が正式に発表されたオランダ代表DFである。
 
 アカデミー入団当時からデリフトはパワー、高さ、インテリジェンスなどフィジカルの強さとセンスの良さを垣間見せる一方で、スピードに致命的な課題を抱えていた。
 
「フットボーラーにとっての理想は、虎のようなしなやかな走りだ。でもデリフトは象のようなもたもたした走り方をしていた」
 
 アカデミーの元コーディネーターで、ヴィム・ヨンクとともに「プラン・クライフ」の実践に尽力したルベン・ヨンキントはこう振り返る。その原因がランニングフォームにあると見抜いた首脳陣が、走り方の指導をソムに依頼したのだった。
 
 3年間にわたって週2回行われたそのマンツーマンレッスンは、膝の動きや着地の仕方など多岐に渡ったが、その効果はてき面だった。ヨンキントは「デリフトがモデルケースになって、ヨハンが提唱した指導哲学がアヤックスに浸透し始めた」と語る。
 
 この逸材にとってもう一つ成長への鍵となったのが、セントラルMFとしてプレーしたことだった。DFラインを高く設定するアヤックスは、CBがハーフウェーライン付近でプレーするのが通常だ。デリフトにもそうした特殊な状況に慣れさせるため、ヨンキントらが持ち掛けたのがMFへの一時的なコンバート案だった。

 このアイデアには、当時15歳のデリフトが所属していたU-17のチームを預かる首脳陣から、「試合に勝てなくなってしまう」と異論の声が上がったという。しかし、「トップチームで活躍する選手を育成するのが我々の使命だ」とヨンキントらはそうした現場の声を押し切り、デリフトは1年間に渡り中盤で実戦経験を積んだのだった。
 
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