[キリンチャレンジカップ]日本2-0エルサルバドル/6月9日/ひとめぼれスタジアム宮城
「ロシア・ワールドカップ、選ばれる自信はあるか」
2018年4月、伊東純也は物憂げそうにこう答えた。
「もちろん出たいですけど、正直、厳しいと思います」
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督から西野朗監督に代わり、日本代表チームは大きく揺れていた時期だ。新指揮官が誰をメンバーに選ぶのかは分からなかったが、伊東が当落線上にあり、どちらかと言えば落選濃厚の空気が漂っていたのは確かだった。
当時柏レイソルに所属していた伊東は、国内組だけで参加した前年12月のE-1選手権で代表デビューを飾ったものの、海外組を含めたメンバーには一度も入ったことがなかったからだ。結果は既知の通り。
しかし、そんな発言から1年余りで、いまや、すっかり日本代表のユニホームが似合う男になった。
ロシア・ワールドカップ後の18年7月、森保一体制が発足すると、初陣となった9月のキリンチャレンジカップからコンスタントに呼ばれている(今年3月のコロンビア戦とボリビア戦を除いて、招集され続けている)。
今年の2月には、ベルギーのヘンクに移籍を果たすと、瞬く間にレギュラーの座を勝ち取り、国内リーグ優勝に貢献。まさに飛躍的なステップアップを遂げ、人間としても選手としても逞しさを増している。
ドリブルは、より切れ味を増し、また力強くもなった
そんな著しい進歩は、エルサルバドル戦でのプレー面からも見て取れる。JリーグのDFをきりきり舞いさせた快足を活かしたドリブルは、より切れ味を増し、また力強くもなった印象だ。
右ウイングバックで先発した伊東は、立ち上がりからフルスロットルで右サイドを駆け上がり、度々チャンスを演出。6分には相手陣内でボールをかっさらうと、そのままペナルティエリアに侵入し、鋭いクロスで原口元気のシュートをお膳立てした(原口のシュートは惜しくも枠の上に外れたが)。
伊東自身はそのシーンを振り返り、「ちょっと焦ってしまったというか、仲間を使うことしか考えていなかったので、シュートの意識があればもっと良かったかなと思う」と反省したものの、DFふたりを置き去りにしたドリブルは見応えがあった。