負の連鎖が始まった08年のサウジアラビア大会。
各世代の代表選手たちが歩んできた過程には、知られざる様々なストーリーがある。『週刊サッカーダイジェスト』では、その軌跡に焦点を当てた浅田真樹氏のコラム「追憶のGeneration」を月1回で連載中。
今回は、10月9日からのU-19アジア選手権に臨むU-19日本代表と、10月10日のジャマイカ戦、同14日のブラジル戦を控えるA代表に復帰した香川真司に関連したエピソードをお届けする。
(※『週刊サッカーダイジェスト』2014.4.15号より転載)
【日本代表photo】ジャマイカ、ブラジル戦のメンバー23人
サッカー王国のブラジルで64年ぶりに開かれるワールドカップまで、あと2か月あまり。いよいよ開幕が迫ってきた。
日本がこの世界最大のスポーツイベントに出場するのも5大会連続5回目になる。かつては、遥か彼方の夢でしかなかったものが、もはや当たり前の恒例行事になった。
そこに至ったのにはいくつかの要因が挙げられるが、そのひとつが「育成の強化」であろう。目の前の大会だけを目標とするのではなく、長期的な視野に立ち、若年層の育成に力を入れたことが、5大会連続のワールドカップ出場につながったことは間違いない。
1995年に初めてアジア予選を突破してU-20ワールドカップ(当時はワールドユース選手権)に出場して以来、2007年まで7大会連続出場を果たしたことは、育成におけるひとつの成果と言えるだろう。そこで多くの選手たちが日本と世界との距離を肌で感じ、その後の成長へつなげていった。
ところが09年以降、日本はU-20ワールドカップに一度も出場できていない。もちろん、それに出場できるか否かで育成の評価が決まるわけではないが、将来を考えた時、この年代で世界を経験できていないことが足かせとなりかねない。
08年11月、サウジアラビア。負の連鎖はここから始まった。
8大会連続のU-20ワールドカップ出場を目指し、牧内辰也監督率いるU-19日本代表はサウジアラビアのダンマンに乗り込んだ。当地で開かれたU-19アジア選手権での準決勝進出が世界行きの条件だった。
チームには、かつてないほどの緊張感が漂っていた。というのも、グループリーグで地元サウジアラビアに加え、強豪イランとも同組となったことで、ベスト4はおろか、下手をすればグループリーグ敗退の危険性さえあったからだ。
そもそも前年にU-18代表として立ち上げられた当初からSBSカップ、仙台カップでいずれも全敗の最下位に終わるなど、先行きが不安視されていた世代である。年が明け、U-19代表となってからの戦いぶりにも、もたつきが目立ち、不安は大きく広がっていた。
そんな世代にあって光明となっていたのが、香川真司と金崎夢生のふたりである。
今回は、10月9日からのU-19アジア選手権に臨むU-19日本代表と、10月10日のジャマイカ戦、同14日のブラジル戦を控えるA代表に復帰した香川真司に関連したエピソードをお届けする。
(※『週刊サッカーダイジェスト』2014.4.15号より転載)
【日本代表photo】ジャマイカ、ブラジル戦のメンバー23人
サッカー王国のブラジルで64年ぶりに開かれるワールドカップまで、あと2か月あまり。いよいよ開幕が迫ってきた。
日本がこの世界最大のスポーツイベントに出場するのも5大会連続5回目になる。かつては、遥か彼方の夢でしかなかったものが、もはや当たり前の恒例行事になった。
そこに至ったのにはいくつかの要因が挙げられるが、そのひとつが「育成の強化」であろう。目の前の大会だけを目標とするのではなく、長期的な視野に立ち、若年層の育成に力を入れたことが、5大会連続のワールドカップ出場につながったことは間違いない。
1995年に初めてアジア予選を突破してU-20ワールドカップ(当時はワールドユース選手権)に出場して以来、2007年まで7大会連続出場を果たしたことは、育成におけるひとつの成果と言えるだろう。そこで多くの選手たちが日本と世界との距離を肌で感じ、その後の成長へつなげていった。
ところが09年以降、日本はU-20ワールドカップに一度も出場できていない。もちろん、それに出場できるか否かで育成の評価が決まるわけではないが、将来を考えた時、この年代で世界を経験できていないことが足かせとなりかねない。
08年11月、サウジアラビア。負の連鎖はここから始まった。
8大会連続のU-20ワールドカップ出場を目指し、牧内辰也監督率いるU-19日本代表はサウジアラビアのダンマンに乗り込んだ。当地で開かれたU-19アジア選手権での準決勝進出が世界行きの条件だった。
チームには、かつてないほどの緊張感が漂っていた。というのも、グループリーグで地元サウジアラビアに加え、強豪イランとも同組となったことで、ベスト4はおろか、下手をすればグループリーグ敗退の危険性さえあったからだ。
そもそも前年にU-18代表として立ち上げられた当初からSBSカップ、仙台カップでいずれも全敗の最下位に終わるなど、先行きが不安視されていた世代である。年が明け、U-19代表となってからの戦いぶりにも、もたつきが目立ち、不安は大きく広がっていた。
そんな世代にあって光明となっていたのが、香川真司と金崎夢生のふたりである。