【日本代表インタビュー】FC東京 森重真人「私的アンカー論」

カテゴリ:日本代表

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2014年10月07日

「攻撃の局面でも求められるのは、リスクマネジメント」

9月5日のウルグアイ戦ではカバーニともマッチアップ。守備面での働きは及第点だった。(C) SOCCER DIGEST

画像を見る

 あくまで、参考資料である。「今回はアンカーについて話してもらえますか」とお願いしたところ、「えっ、僕がですか? 9月の代表2試合でしかやっていないのに……」と困惑した様子だった。それでも、森重真人は「僕個人の見解ならば」と前置きしたうえで、快く取材に応じてくれた。あくまで、森重の思考。だから、私的アンカー論なのである。
 
【日本代表photo】ジャマイカ、ブラジル戦に向けたメンバー23人
 
――9月の代表2連戦は、どの部分に重きを置いてプレーしましたか?
「守備です。試合まで時間があまりなかったので、基本的にはCBの前にいて中央のエリアを安定させようと心がけました。具体的にはCBふたりをサポートしつつ、パスカットを狙うイメージです。(FC東京でCBの)自分がアンカーに起用された理由を考えて、まず『中だけは崩されないようにしよう』というスタンスでプレーしました」
 
――アギーレ監督からの指示は?
「細かい指示はなく、言われたのはボールを動かす時のポジショニングだけでした。相手が2トップなら、自分が後ろに下がって3枚でボールを回す。1トップの場合は下がらず、その1トップの背後でボールを受ける準備をするイメージで動くように、と」
 
――カバーニ選手が1トップのようだったウルグアイ戦では、最終ラインに下がる意識がそこまでなかったというわけですね。
「アンカーがCB2枚と連動して“三角形”を作れれば、相手の1トップを十分にいなせます。向こうが2トップだったベネズエラ戦はCBと同じラインまで下がって、数的優位を保った状態でボールを回しました。攻撃の局面でも4-3-3のアンカーに求められるのは、リスクマネジメントだと考えています。その意味では、ディフェンスに重きを置くポジションなのかなと。ウルグアイ戦でまず考えたのも、『相手のカウンター阻止』でしたから」
 
――守備的なアンカーと言えば、2010年のワールドカップを戦った阿部選手(現・浦和)です。
「今言われて、『確かにそうだ』と思いました。ただ、イメージにあるのはFC東京でアンカーをやっている高橋選手。クラブで自分は彼の真後ろから指示していますから、(代表戦では)その指示を思い出しながらプレーしました」
 
――高橋選手には、どんな指示を?
「相手のシステムによって変わりますが、基本的には真ん中にいてもらうようにしています。ビルドアップの時も、激しい動きは要求しません。中央寄りのポジションで顔を出してもらいながら、(最終ラインからの)パスの受け手になってもらいます。僕が高橋選手に求めるのも、リスクマネジメント。だから、攻撃の時も彼をたいてい自陣に残します」
 
――リスクマネジメントを重視するとはいえ、攻撃面での貢献もアンカーには求められます。仕掛けの局面で、森重選手のファーストチョイスは?
「この前の代表戦ではまず、前線の3人を見ました。僕がボールを受けたタイミングで、向こうのバランスが崩れていて“1対1”の状況になっていれば(※POINT 1を参照)、躊躇なくDFの裏のスペースを狙います。蹴り込んだボールが上手くFWにつながれば、ビッグチャンスになる可能性が高いですからね。1対1で競り勝てる確率は単純計算で50パーセントですが、チャレンジしないと何も起こりません。五分五分なら、チャレンジする価値は十分過ぎるほどあります。3トップにしているのも、カウンターで崩す意図があるからでしょう」
――リスクマネジメントを強調されていたので、てっきりインサイドハーフへの縦パスが第一選択なのかと。
「アンカーを置く4-3-3システムのなかでも動き方が難しいのは、インサイドハーフだと思います。例えばアンカーにボールが入った場合、サイドにはSBが、前線にはCFとウイングがいるから、インサイドハーフは居場所を見つけにくい。要するに、横と縦どちらに動いても、“交通渋滞”にハマる可能性が高いというわけです。たぶん、この前の代表戦で
インサイドハーフのふたりは『行くスペースがない』と考えながらプレーしていたと思うので、その状態で彼らに預けるのはむしろ危険。じゃあ、インサイドハーフはどう動けばいいかと言えば、それは試合や練習を重ねて見つけ出すしかありません。正解はひとつではないので、いろいろなシチュエーションを想定しながらチームで話し合い、試す必要があるのではないでしょうか」
【関連記事】
【日本代表】アギーレの「新しい井戸」 Jリーグが育んだ中堅の抜擢に見えるもの
【独占インタビュー】武藤嘉紀 「見失わないスタンス」
ジャマイカ、ブラジルとの2連戦に挑む日本代表メンバーの近況レポート|国外組編
ジャマイカ、ブラジルとの2連戦に挑む日本代表メンバーの近況レポート|国内組編
中田英、遠藤……背番号7を受け継ぐ柴崎岳が、代表定着へ大きな一歩を踏み出す

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 唯一無二の決定版!
    2月15日発売
    2024 J1&J2&J3
    選手名鑑
    60クラブを完全網羅!
    データ満載のNo.1名鑑
    詳細はこちら

  • 週刊サッカーダイジェスト いざW杯予選へ!
    3月8日発売
    元代表戦士、識者らと考える
    日本代表の現在地と未来
    2026年へのポイントは?
    J1&J2全クラブ戦力値チェックも
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 夏の移籍を先取り調査!
    3月21日発売
    大シャッフルの予感
    SUMMER TRANSFER
    夏の移籍丸わかり
    完全攻略本2024
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ