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【小宮良之の日本サッカー兵法書】 監督とはかくあるべき! 失敗を糧に上昇し続ける高潔な究道者

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2019年03月24日

「セビージャの監督として多くのことを学べた」

ジローナで実績を積んだマチン監督は、セビージャの新プロジェクトの目玉的存在だった。シーズン後半戦で失速したチームを立て直すことはできなかったが、初の名門クラブで得たものは少なくなかったようだ。 (C) Getty Images

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 3月15日、リーガ・エスパニョーラの雄であるセビージャの監督、パブロ・マチンが電撃的に解任された。過去に5度の優勝経験があるヨーロッパリーグ(EL)で敗退したことが、大きな理由だった。
 
「次の試合のことを考えていた。しかし、サッカーはしばしば報われないもので……。フロントが決断したなら、私はそれを受け入れるしかない」
 
 マチン監督は、複雑な心中を語っている。今シーズンはチャンピオンズ・リーグ出場圏内の順位を維持するなど、評判も悪くなかった。3バックを用い、ワイドの選手の攻撃力を活かして、旋風を巻き起こしていた。右WBのヘスス・ナバスは、久しぶりにスペイン代表へ復帰。左CBのセルジ・ゴメスも初めて代表に選ばれていた。
 
<選手に触媒を与え、成長させる>
 
 その点で、マチン監督については「名将」と太鼓判を押せる。
 
 カップ戦敗退で解任が突きつけられるとは思っていなかった彼だが、気持ちを押し殺すようにこう述べている。
 
「私は、ポジティブな人間である。セビージャの監督として多くのことを学べたし、楽しむこともできた。残念ながら結果がついてこず、契約を全うできなかっただけのことだ」
 
 マチンは元々、無名の監督だった。膝の怪我により23歳で現役続行を諦め、出身地のソリアで指導者に転身した。当初は、ヌマンシアの下部組織の監督を務めている。
 
 筆者は当時、ヌマンシアに在籍していた福田健二のノンフィクション、『導かれし者』(角川文庫)の取材で、現地に滞在していた。その間、マチンと会話を交わしたこともあった。
 
 当時2部だったヌマンシアは登録選手がぎりぎりで、紅白戦ではBチームの監督だったマチンも、練習にかり出されていた。現役時代にCBだったマチンは、必死にボールを跳ね返しながら、“噛ませ犬”の役を買った。監督といっても、小さなクラブでは雑用のような仕事も多い。
 
 安月給だったが、しかしマチンに卑屈さはなかった。トップチームの監督の指導法をメモし、強いチームを作るんだ、と向学心を漲らせていた。
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