バルセロナのアルゼンチン代表FWリオネル・メッシには、３人の息子がいる。サッカーの歴史に名を残した偉大な選手の遺伝子を持つ彼らが、将来的に父親のようになりたいと願うか、そして夢を叶えられるかは、今はまだ誰にも分からない。だが、もしも、メッシの遺伝子を完全にコピーすることができたら……どうなるだろう。

　スペインの遺伝子学の専門家アルカディ・ナバーロ氏が興味深い見解を示している。

　３月20日、スペイン紙『Marca』が伝えた内容によれば、同国のラジオ局『Cadena SER』の番組で、ナバーロ氏は、「現代の技術なら可能だろう。メッシに非常に似たものとなるはずだ」と、メッシのクローンをつくることは可能との見解を示した。

　だが、たとえクローンをつくることができても、メッシと同じような成功を収める保証はないという。ナバーロ氏はクローンが「メッシと同じポテンシャルを持つはず」としたうえで、「メッシのサッカーに関するクオリティーには２つの要素がある」と続けた。

「ひとつは遺伝的なものであり、もうひとつは環境や教育的な要素だ。メッシはメッシであり、彼自身の状況がある。遺伝的なことだけでメッシが今の彼になったわけじゃないんだ。幼少期の家の環境や、マシアで育ったこと、ホルモン治療を受けたことなどから、メッシはメッシなんだよ」
 

　さらにナバーロ氏は、「遺伝子はひとつのポテンシャルを与えてくれる。それを完全なものにするかどうかは、我々の仕事ではない」とし、次のように言い放っている。

「それは我々の環境や、個の意欲によるものだ」

　確かに、クローンがメッシとまったく同じプレーを見せるのであれば、未来は「クローン選手」だけになってしまうかもしれない。しかし、すべてのアスリートがクローンという未来は、やはり想像しがたいものがある。実際、『Marca』のアンケートでも、5500人を超えるユーザーの62パーセントが、「スター選手のクローン化はサッカーやスポーツの未来ではない」と答えている。

　将来的に、メッシに近づき、彼を上回る選手が現れるかは誰にも分からない。ただ、現代サッカー界を牽引するクラックのプレーは、その者にしかできないということは確かなようだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部