[Ｊ１リーグ２節]広島０－０磐田／３月１日／Eスタ
 
「若返った状態と、サッカーの進め方の志向を変えた状態で、勝点を積み上げながら進んでいくのは、僕は簡単じゃないと思っていました。相当、辛抱しないと。どのクラブも若手に切り替わったり、いろんなものが変わった時は非常に苦労している。我々もそこに陥りかねないという危機感を感じながらやっています」
 
　スコアレスドローに終わった磐田戦後、広島の城福浩監督はこう述べた。
 
　まずは、「サッカーの進め方の志向を変えた状態」を説明しておこう。昨季前半戦、広島は４－４－２の布陣による堅守速攻で快進撃を見せたが、その原動力になっていたパトリックを封じられて終盤戦に失速。パスをつないでボールを保持するポゼッションスタイルに移行し、最終節（札幌戦／△２－２）には３－４－２－１のシステムに変更した。そして、オフを挟んで迎えた新シーズンもポゼッションスタイル＆３－４－２－１システムを継続している。
 
　しかし、キャンプでのトレーニングの成果は出ず、今季は開幕戦の清水戦（△１－１）に続いて２試合連続ドロー。新スタイルの現状を指揮官は次のように説いた。
 
「開幕戦では相当パスをつないだが、裏を取ることが少ない時間帯があった。そこを強く反省して、もっともっと縦に行こうと、この試合に臨むにあたって準備をしました。それを強く反省し過ぎて、ちょっと無理やり縦に行って、失い方が早い場面もあったと思います。もう少し、相手を焦らすようなボール回しをやりながら縦に行く。今、時計の針が振れている状態で、だからこそ私は辛抱という言葉を使っています。裏に行くべきところと、相手を振り回すためにボールをつなぐところのバランスが、開幕戦と今日でちょっと違った。そこで両方が両極端な部分を見せたところで、このふたつを反省して次にもっと良いバランスを見せられれば、もっと有効な攻めができると思います」

　サッカーのスタイルチェンジに加え、もうひとつの今季からの変化は若返りである。開幕から２試合ともＧＫの大迫敬介（19歳）が先発し、東俊希（18歳）と松本大弥（18歳）が途中出場した。いずれもユース出身の選手だ。城福監督は「若返った状態」をこう話す。

「去年の話をしたら意味はないですけど、やはり去年１年間あれだけ頑張ってあの順位（２位）を取ったメンバーが平均年齢で30歳を超えている現実があります。Ｊリーグを俯瞰して観た時のこのクラブの立ち位置からすると、やはり即戦力を獲るよりも育ててこのチームが成長していかない限り、Ｊリーグの高いレベルでの競争は難しいと思っているので、彼らのことは去年から期待をしていました。ただ、去年はなかなか彼らを起用することが難しい状況だったので。やれている選手を使っている、その選手がたまたま若かったということなので、送り出したからには信じて使っていますし、やってくれると思って使っているので、これからもっと練習で見せて欲しいと思います」

　城福監督にここまで言われれば、スタイルの変化も若返りもチームを長い目で見たうえでのチャレンジだと分かる。だからこそ、冒頭の言葉のように「相当、辛抱しないと」いけないのだろう。

　しかし、現状は極めて厳しい。広島は磐田戦の引き分けで、昨年９月１日の鹿島戦（〇３－１）の白星を最後に、半年間も勝利から見放されているのだ。いくらオフを挟んでいるとはいえ、それならキャンプでのトレーニングの成果は？という意見が出てもおかしくない。とにかく、６か月も「白星なし」は、あまりにも長い。