【清水】新監督・大榎克己の人物像「先行き不透明な時代を支えたクラブ愛に溢れる男」

カテゴリ:Jリーグ

前島芳雄

2014年07月31日

今年は清水ユースでU-18プレミアリーグEASTの首位争いを演じる。

チーム再建へ、抜擢を受けた大榎新監督。ユース監督時代には確かな手腕を見せていただけに、サポーターの期待は高まる。 (C) SOCCER DIGEST

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 7月30日、清水は、ここまで3年半に渡りチームを率いてきたアフシン・ゴトビ監督を解任し、開催中の日本クラブユース選手権で28日まで清水ユースの指揮を執っていた大榎克己ユース監督をトップチームの新監督に迎えることを発表した。
 
 清水の竹内康人社長は、電撃人事の理由をこう説明する。
「今年は結果を求めてスタートしましたが、現状は決して満足できる成績ではなく、様々な要素を踏まえて監督交代という厳しい決断に至りました」
 
 そのニュースはチームの現状に閉塞感を抱いていたサポーターにも、期待と歓迎とともに迎えられた。
 
 そんな大榎新監督を語るうえで、まず忘れてはならないのは、彼が清水エスパルス創設前夜の91年に、第1号のプロ契約を結んだ選手だということだ。
 
 当時は、何もないところからスタートした市民クラブが本当にプロチームとしてやっていけるのかどうかさえ分からない状況だったが、自ら他の選手を勧誘するなど積極的にクラブの立ち上げにも尽力。少年時代からの盟友・長谷川健太、堀池巧らと「清水三羽ガラス」と呼ばれて清水サッカーの黄金時代を築き、「自分は清水に育ててもらって、まず自分たちが帰らなければという使命感が強かった」と当時の思いを振り返る。
 
 その後も2002年に現役を退くまでエスパルス一筋でタイトル獲得にも貢献し、「エスパルス愛」の強さでは誰にも負けないことは自他共に認めるところだ。
 
 その後、母校・早稲田大の監督を経て08年に清水ユースの監督に就任。毎年着実にチームを成長させ、今年はU-18プレミアリーグEASTで開幕5連勝を飾るなど上位陣をリードし、初優勝を狙えるチームを作り上げてきた。
 
 その間に複数のJ2クラブから監督就任を要請されたこともあったが、「自分のスタートはエスパルスで」という思いを貫き、悉くオファーを固辞。本人もまさかこのタイミングで夢が実現するとは思っていなかったが、「腹をくくって、全身全霊を捧げて頑張りたい」と就任の決意を語る。
 
 もちろん、残留争いに巻き込まれるリスクもまだ残っている中で、初めてプロチームを率いる彼にとっては、難問が山積みであることは間違いない。だが、それでも大榎新監督に期待が持てるのは、彼が選手を伸び伸びとプレーさせる手腕に長けているからだ。
 
 新たに清水ユースの監督に就任した平岡宏章も「選手のマネージメントが本当にうまい」と証言する。これまでゴトビ監督の徹底したリスク管理によって思い切りの良いプレーが影を潜めていた清水の選手たちにとっては、それだけでも大きな違いとなるはずだ。また、自分自身が理想とするサッカー像は持ちながらも、現状をよく把握したうえでチーム作りを進めていく現実主義も備えている。
 
 まずは結果を優先しながら楽しいサッカーを追求し、「もう一度、地元のみんなから愛されるエスパルス。応援されるチームにしたいという思いが一番です」と語る新監督。静かな語り口の中に秘められた熱い想いは、すでに選手にもサポーターにも十分に理解されている。
 
文:前島芳雄

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