「変化」より「深化」を選んだ森保ジャパン。アジアカップは戦術ありきのフェーズへ

カテゴリ:日本代表

清水英斗

2018年12月13日

山中や鎌田のような異分子はメンバーに入らなかった

アジアカップに挑む23人に森保監督が選んだのは、11月までの5試合で起用された選手だけだった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 森保ジャパン、プランAの完成へ向けて、まっしぐら。発表されたアジアカップのメンバーからは、率直にそんなイメージを受けた。
 
 つまり、プランBを匂わせる選手が、ほとんどメンバーに入っていない。たとえば、純正左利きの攻撃的SB、山中亮輔。森保ジャパンは基本的に、SBを高い位置へ上げる戦術を採らず、バランスを重視させている。この枠組みにおいて、攻撃的な山中はハマりづらい選手。
 
 しかし、プランBの価値はある。キルギス戦のようにボールを持つ展開、あるいはビハインド状態を追いかける展開においては、山中の起用価値が上がるからだ。キルギス戦で全治3週間の肉離れを負ったが、その後の経過が順調なら、アジアカップに間に合わないことはないだろう。
 
 ところが、この異分子は、メンバーに入らなかった。左SBは長友佑都、佐々木翔。現状の枠組みから離れない、2人が選ばれている。異なるタイプを控えに置かず、SBの仕組みは、正副ともにキープ。プランBの余地を残さなかった。
 同じことは、鎌田大地にも言える。
 
 タメを作るキープ力があり、ドリブル、スルーパスと、変幻自在のチャンスメイクを行なう司令塔。ザックジャパン時代の本田圭佑を、より技巧的にスケールアップしたトップ下だ。今季シント=トロイデンでリーグ戦12試合・10得点と絶好調。自らゴールを奪う能力も、ずば抜けている。
 
 山中同様、鎌田もプランB。つまり、このような10番は、森保ジャパンに存在しない。トップ下の南野拓実は、ダイレクトにゴールを目指す衛星型のアタッカーであり、縦に鋭い森保ジャパンの象徴的な存在でもある。
 
 だが、このダイレクト速攻が通じないとき、どうすればいいのか。ベネズエラ戦を思い返すと、この点は不安が残る。中島翔哉のドリブル突破は警戒され、潰される場面が多い。森保ジャパンの特徴は分析されており、あまり多くのチャンスを作れなかった。
 
 そんなとき、遅攻で変化を付ける10番の存在は、プランBになり得る。中島、南野、堂安律の組み合わせに鎌田を放り込むと、異分子感はあるが、だからこそのプランBだ。ベネズエラのように、守備の組織力が高いチームと戦うときこそ、10番の奇術師が欲しくなる。相手の素早いプレスバックに対し、突撃して終了ではなく、そこでひと手間の鎌田。

 だが、山中同様、この選手もメンバーに入らなかった。
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