“ハリルの足かせ”を外した西野-森保体制。顕在化したポテンシャルは予想以上だ

カテゴリ:日本代表

加部 究

2018年10月14日

ハリルホジッチ監督の足かせはあまりにも大きかった

ハリルホジッチ監督(中央)の解任以降、指揮を執ってきた西野監督(左)、森保監督(右)によって、日本は再び自らの長所を自覚したサッカーに舵を切っている。(C) SOCCER DIGEST

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 森保一監督は、日本の可能性を見落としのないように丹念に誠実に洗い出している。4年後に向けての出発というより「現時点」を強調している通り、年齢に関係なく、これまで十分にチャンスを与えられなかった選手を優先して起用した。潜在能力を顕在化させ、改めて見極める作業だ。


 パナマ戦でゲームをコントロールした青山敏弘は、現在32歳。カタール・ワールドカップのピッチに立つ時は36歳になる。だがロシア大会で主将を務めた長谷部誠、あるいはJリーグで円熟の境地にある中村憲剛らの現状を見れば、可能性を捨ててしまうのは惜しい。一方GKの東口順昭、三竿健斗、伊東純也、室屋成、川又堅碁は、いずれもヴァイッド・ハリルホジッチ監督時代に惨敗を喫したE-1選手権でプレーをしている。伊東以外は、際立った印象を残せずに、代表からフェイドアウトしていった。しかし森保監督は、その後のJリーグでのパフォーマンスを追い、彼らにセカンドチャンスを与えた。欧州組も同じだ。ロシア組ではなく、ロシアに肉薄しながらワールドカップ本大会を逃した中島翔哉、堂安律、南野拓実らを先に抜擢。高いモチベーションは、日本らしい無理のない戦術と相まって勢いを生んだ。
 
 こうしても見ても、やはりハリルホジッチ監督の足かせは、あまりに大きかった。西野朗監督による短時間の修正、さらには就任間もない森保監督は、この足かせを外し日本の選手たちの特性に即したサッカーを奨励しているに過ぎない。最大の相違は、日本の長所を自覚しているかどうか、である。日本サッカーと対峙したハリルホジッチ監督には、欧州目線が染みつき、彼我を比較して短所しか目に入らなかった。だから時間をかけて主導権を握ることを、むしろ危険視した。互いに距離を詰めてショートパスをつなぐことは、リスクでしかなかった。そこで中盤には戦える選手を配し、途中で奪われるリスクを避けてロングフィードを急がせた。E-1選手権では、韓国戦の大敗を「最初から分かっていた」と卑下した。
 
 西野―森保体制は、大筋で近年の日本の指導指針に基づき、選手たちが共有しやすいイメージを示した。そして送り出す選手たちには計算違いがなくなり、日の丸へのモチベーションと責任が攻守のハードワークを生み出した。遠来のパナマは、日本の倍以上に相当する20本を超えるクロスを送り、後半は日本と互角にペナルティエリアにも侵入した。個々のフィジカルやテクニックの水準も悪くはなく、アグレッシブな戦いを挑んできたから、内容は点差ほどではなかった。そういう意味では、ホームの日本は試合巧者に映った。ハリル就任当初は、格下相手に効率の悪さが際立った日本代表は、確かに変貌している。
 
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