2度のビハインドを背負った山梨学院(山梨)を救ったのは、頼れる10番だった。
8月11日、インターハイの準々決勝が行なわれ、山梨学院は過去最高成績となるベスト4進出を決めた。
日章学園(宮崎)と相まみえた山梨学院は、前半終了間際にFKから失点。後半開始直後に10番・宮崎純真(3年)のアシストから平松柚佑(2年)のゴールで一度は追い付いたが、後半15分に再び得点を許してしまう。
1点ビハインドの状況で残された時間は20分。ここから会場の視線を独り占めにしたのが、山梨学院のエース・宮崎だ。
快速で鳴らすストライカーは22分、GK市川隼(3年)が蹴ったロングフィードのこぼれ球を拾うと、巧みなステップでゴール前に侵入。最後は右に流れながら右足を振り抜き、値千金の同点弾を決めた。
勢いに乗った10番は続けざまに魅せる。28分、市川のゴールキックを最前線で受け、相手DFを上半身で抑えながらターン。前を向くと、利き足と逆の左足で豪快にニアサイドの上段を打ち抜いたのだ。
鮮やかすぎる2発でチームを逆転勝利に導いた宮崎。しかし、現状に満足をしておらず、「年代別代表を狙っていますし、郁万もプロ入りを決めているから自分も負けてられない」とした。
それもそのはずだ。中学時代にFC多摩Jrユースでともに戦った僚友・関川郁万(流経大柏/3年)が鹿島入りを決めているからだ。
自身の目標は関川と同じように高卒でのプロ入り。現状で具体的な話は来ていない。つまり、今大会で誰よりもゴールを量産するのは必須で、そのうえでインパクトを残す必要がある。
ただ、今大会で結果を残しているFWのひとりであるのは間違いない。すでに4得点を挙げ、この日章学園戦は2ゴール・1アシストを記録。得点以外のプレーでも1回戦の市立船橋戦で「ボールが収まって、自分でも仕掛けることができた」と自己分析するように、全国でも十分に通用するプレーヤーであると証明している。
快足を利したドリブル突破でブレイクを果たした1年次の選手権と比較し、パワーもシュート精度も著しく向上。宮崎はアタッカーから本物のストライカーへと変貌を遂げつつあるのは間違いないだろう。
