[インターハイ１回戦]盛岡商２-１東海学園／８月７日／三重交通G

　2006年度に冬の選手権を制した盛岡商（岩手）。直近５年で４度のインターハイ出場を成し遂げているが、勝利という結果を残せていない。夏の全国舞台で最後に凱歌を響かせたのは2012年まで遡る。

　その東北の伝統校が２年ぶりに臨んだインターハイで勝利を挙げた。実に６年ぶりの１勝だ。
 
　盛岡商は８月７日に行なわれた１回戦で東海学園（愛知①）と対戦。前半18分に村井勇仁（３年）のゴールで先制すると、同点で迎えた試合終了間際の後半34分に上田有聖（３年）が勝ち越し弾。劇的な形で２回戦へと駒を進めた。
 
「去年は選手権とインターハイに出られなかった。特に選手権はかなりの期間、出場していない。なので勝ち癖がなくなり、チームは自信をなくしていた。インターハイに出て勝てたことは経験になる」

　勝利の感想とともに充実の表情を浮かべたのは、今季から指揮官に就任した中田洋介監督だ。
 
　中田監督は高校時代に大船渡高（岩手）でプレーし、斎藤重信監督（現盛岡商総監督）の下で選手権やインターハイに出場。２学年上には鹿島の小笠原満男もおり、ふたりから多くのことを学んだ。

　卒業後は駒澤大を経て、当時J２の仙台へ加入。2010年に現役を退くまで横浜FCや地元のグルージャ盛岡（当時は東北１部リーグ）でプレーをした。
 
　引退後は母校・大船渡高で指導者としてのキャリアをスタート。そして、17年に転機が訪れる。恩師が陣頭指揮を執る盛岡商に赴任したのだ。

　保健体育の教諭として勤務しつつ、コーチとしてサッカー部を指導。今年度からは監督に就任し、斎藤総監督とともにチームの強化に取り組んでいる。
 
　盛岡商を預かることになった中田監督。「まだ早いと思っていました」と今回の人事に驚きを隠せなかったが、情熱を持って選手と向き合った。とりわけ、大切にしてきたのは、高校時代に恩師である斎藤総監督に言われた「サッカー選手である前にひとりの生徒。人間として成長をしないといけない」という教えだ。

　そして、今でも交流があるという先輩・小笠原から学んだ勝者のメンタリティーも、チームにプラスに働いた。