頂点に立つのは果たしてどこか。熾烈な覇権を争いで、キーポイントになりそうなのがチームの総合力だ。
冬の選手権は30名の選手が登録可能で、20名までがベンチに入りを認められている。一方で夏のインターハイは登録17名のみ。不測の事態にも限られたメンバーの中で対応する必要がある。
しかも、夏の大舞台は1週間の短期決戦。1日の休養日を挟み、3連戦を2度戦う日程だ。通常よりも短い35分ハーフとはいえ、酷暑での戦いは選手たちの体力を消耗させる。
複数のポジションをこなせるポリバレントな能力も含め、選手層の厚さは上位進出を目指す上で不可欠な要素だ。
また、ベンチワークも大会を制するためには欠かせない。昨夏に準優勝を果たした日大藤沢(神奈川)は戦況や時間帯などを見極め、選手を起用。絶妙なタイミングでの交代が、大会前の下馬評を覆す快進撃の一因となった。
このふたつの観点を踏まえたうえで今大会を展望すると、優勝候補に挙げられるのは青森山田(青森)、市立船橋(千葉②)、前橋育英(群馬)、東福岡(福岡)の全国制覇経験を持つ4校だ。
青森山田は福岡入団内定の大型CB三國ケネディエブス(3年)、プロ注目のアタッカー・檀崎竜孔(3年)が攻守の軸として構え、脇を固める人材も例年通り多士済々。前橋育英は春先こそ不調に陥ったが、5月以降にBチームから引き上げられた選手と昨冬の選手権優勝を経験したFW榎本樹(3年)らが融合。攻守にバランスが取れた集団へと仕上がった。
ただ、青森山田と前橋育英は準々決勝で対戦する可能性がある。この一戦が優勝を目指す上で山場になるはずだ。
対する東福岡と市立船橋は選手層の厚さで勝負できる。どちらも超高校級のタレントを擁しているわけではないが、17人の選手層は今大会随一。誰がピッチに立っても戦力が落ちない力を有している。
あとはエース格の選手がチームを牽引できるか。東福岡は大森真吾(3年)、市立船橋は井上怜(3年)。個で勝負が出来る両者が圧倒的なパフォーマンスを見せれば、チームに勢いが付く。両者は準決勝までにプレミアリーグ勢との対戦は控えていないだけに、順当に行けば勝ち上がって行くはずだ。
