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J2首位・松本、快進撃の裏側――「僕はまだ認められていない」大宮戦で絶体絶命のピンチを救ったストライカーの矜持

カテゴリ:Jリーグ

塚越 始

2018年07月29日

スタメンを外れた後にチームは白星を重ねるように。それでも「いつかチャンスが…」

大宮戦で3節・東京V戦以来のゴールを奪った永井。今後さらなるゴールが生まれるか。(C) J.LEAGUE PHOTOS

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[J2リーグ26節] 松本-甲府/7月29日/松本(アルウィン)
 
「気持ちで押し込みました、気持ちです。あんなに喜ぶことなんて、なかったですね」
 
 松本のFW永井龍は7月25日の大宮戦、ピッチ上で二度、歓喜の咆哮を上げた。中美慶哉が前半のうちにラフプレーで退場処分を受けて、先制点を与える。数的不利の劣勢の状況下、失意を歓喜に変えてみせたのが、今季加入した38番を着ける27歳のストライカーだった。
 
 まず56分にCKの流れから獲得したPKを冷静に沈めて同点に。さらに64分、カウンターから一気にゴール前までボールを持ち運び、対峙するDF山越康平が一瞬マークを緩めた瞬間を見逃さず、右足を振り抜いて逆転のシュートを突き刺す! この日のシュート数は大宮の12本に対し松本が3本。そのすべてを放ったのが永井で、2ゴールを奪取。2-1の痺れる大逆転勝利をもたらし、J2首位の座をしっかりキープした。
 
「山雅の一員として認められていないと自分自身では思っていたので、勝利に貢献できる点を取らないと、とずっと思っていました。まさにそういう形で決められた2ゴールだったので、非常に嬉しいです」
 
 開幕から6試合連続で先発した間に1ゴールしか挙げられず、チームは1勝も挙げられなかった。皮肉にも永井がスタメンから外されたあと、チームは勝ち星を重ねていった。
 
ただ決して永井のプレーが悪かったわけではない。今季序盤戦は2トップの採用など攻撃に比重を置きながら試行錯誤を続けた。そのバランスを探るなかで、ケガによる離脱もあり、永井はスーパーサブ的な存在になっていった。
 
 18節から20節までは3試合連続で先発。ただ決めたのは5節に決めた1ゴールのみ。やはり何よりも、チームに勝利をもたらすゴールを渇望していた。
「開幕で上手く結果を残せず、自分が抜けてから勝ち始めて……。上手くチームと一緒に乗れなかったのは、自分の中で引っかかっていました。ケガをして戻ってきても、前の選手が結果を残していたので、それでもいつかチャンスは来ると思ってやっていました」
 
 今回の大宮戦。松本が追い込まれた絶体絶命のシチュエーションは、むしろ永井のために整えられた舞台だったのではと思えるほどだ。
 
「重要なシーンで点を決めるしかないと思っていました。それで結果につなげられて、ただ、これだけで僕が認められたとは思っていません。けれどチームが優勝するため、絶対に落とせない試合だったので、そこについては合格点かなと思います」
 
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