いざベルギー戦。絶対にハマってはいけないシチュエーションとは?【ロシアW杯】

カテゴリ:日本代表

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2018年07月02日

ジャイアントキリングは最高のエンターテインメント

ベルギー戦で新しい歴史を築けるか。写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

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 いよいよベルギー戦である。ここを突破すれば日本はワールドカップ史上初のベスト8という快挙を成し遂げることができるが、果たして勝機はあるのか。
 
 なにより警戒すべきはベルギーの鋭すぎるカウンターで、当然ながら早い時間帯の失点は避けたいところだ。とはいえ、グループリーグ3試合で完封試合がひとつもない日本にクリーンシートを求めるのは現実的ではないかもしれない。
 
 実際、ベルギーには世界屈指のアタッカーが揃う。パワフルかつ繊細なフィニッシュワークが持ち味のロメル・ルカク、変幻自在のドリブルで敵をかく乱させるエデン・アザール、ポストワークが巧みなドリース・メルテンスなど、かなり強力な面子で彼らを完璧に抑え込むのは極めて難しい作業だ。

 組織力に定評があると言われたチュニジアでさえ、5失点。しかもグループリーグとはテンションが違う決勝トーナメントである。アザール、創造性豊かなケビン・デ・ブルイネあたりを例えば長谷部誠と柴崎岳の2ボランチが抑えよと言っても、そう簡単にいくものではないだろう。
 
 日本としては、たとえ早い時間帯に先制されても慌てないことだろう。
 
 0-1になった直後のポーランド戦もそうだったが、ビハインドを背負って攻めようとすればするほど全体的に前掛かりになり、それがかえってスペースを与えてしまう原因になる。0-2になればもっと攻撃的な意識が強まり、逆に守備が疎かになって3点目を食らう。そうした“地獄の方程式”にハマらないためにも、決して慌てないことだ。
 
 0-2で敗れたスイス戦(6月8日)のあとには本田も、0-1をキープする重要性について次のように説いている。
 
「1-0の場合は最後のロスタイムまで相手はムチャクチャ緊張するんですよ。もう2-0になったら何気ないセンタリングも平気で跳ね返せたりとか、いわゆる向こうのミスを誘えないのが2-0なんで、1-0でラストミニッツまで行きたいってのはありますね」
 
 ただでさえ格上のベルギーに余裕を与えるような展開だけは避けたい。0-0のまま試合を進めて、逆にベルギーが焦るような流れになると勝機は間違いなく膨らむ。
 
 ベスト16の対戦カードを観るかぎり、もっとも恵まれたのはベルギーだ。7月1日の前日会見でも記者から「すでに(準々決勝の)ブラジル戦のことを考えているか?」という質問がエデン・アザールに投げかけるなど、日本は明らかに舐められている。
 
 しかし、そうした状況をむしろプラスに捉えるべきだ。ベルギーには絶対に負けられないという半端ないプレッシャーがある。そこにこそ付け入る隙があるだろう。前半のうちから彼らのシナリオ通り(早い段階で点差をつけて準々決勝に備える)に事が進まなければ、ベルギーは焦るはず。舐められている日本が健闘すれば、時間の経過とともに観衆も味方につけられるに違いない。
 
 サッカーにおいてジャイアントキリングは最高のエンターテインメント。観衆もそういうものを望んでいる場合が多い。格下が格上を食う、こういうシチュエーションはハラハラ、ドキドキするものだからだ。4年に一度の大舞台でそれを達成できれば、日本はロシア・ワールドカップで最高のチームのひとつと称えられるだろう。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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