伊藤のアシスト、酒井の渾身の守備も虚しく…ハンブルク、勝利もクラブ史上初の降格決定

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェストWeb編集部

2018年05月13日

発煙筒投げ込みで試合は15分以上中断

警官隊がピッチに立つ異常な状況のなかで、失意の瞬間を迎えた選手たち。試合では奮闘したキャプテン酒井をはじめ、ほとんどが涙を浮かべていた。 (C) Getty Images

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伊藤にとって、大飛躍を果たした記念のシーズンとなったが、その結末はあまりに悲しいものだった。 (C) Getty Images

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 5月12日(現地時間)、ブンデスリーガ第34節が行なわれ、ハンブルクは2-1でボルシアMGを下した。
 
 いよいよ迎えた最終節。勝った上で、さらに勝点2差のヴォルフスブルクがホームで最下位ケルンに敗れるという条件でしか、自動降格を免れる術はないハンブルク。わずかな希望を繋いで臨んだボルシアMGとのホームゲーム、酒井高徳は右SB、伊藤達哉は2列目左で先発出場を果たした。
 
 ハンブルクは立ち上がりから積極的に攻撃を仕掛け、開始50秒あまりでコスティッチがファーストシュートを放つ。その後もポゼッションで相手を上回りながら、再三敵陣深くまでボールを運んでいった。
 
 9分、ペナルティーエリア内でホルトビーが放ったシュートがザカリアンの腕に当たったものの、試合はそのまま続行。しかし2分後にVARによる判定に持ち込まれた結果、PKとなり、ハントがGKゾマーの逆を突くシュートを決めて、ハンブルクが先制点を奪った。
 
 幸先良くリードしたホームチームは、大部分の時間で攻勢に立ち、何度かフィニッシュまで持ち込む。一方、守備ではボルシアMGに自陣深くへの侵攻を許さず、ほぼ危なげなく試合を進めていった。
 
 しかし28分、右サイドのハーフウェーライン付近で、パパドプーロスのクリアをアザールがダイレクトでタッチしてスルーパス。これで抜け出したドルミッチは独走し、ゴール前で懸命に戻って来たハントをかわしてゴールに叩き込み、ボルシアMGが試合を振り出しに戻した。
 
 わずかなチャンスを活かされて追いつかれたハンブルクだが、この日は気落ちすることなく、その後も積極性を保ち、幾度か良い攻撃のかたちを作って前半を終えた。
 
 後半も攻勢のホームチーム。最初の決定機は48分、伊藤が左からのカットインでシュートを放つと、相手DFに当たって軌道が変わったシュートがゴールマウス内に飛んだが、ゾマーが好反応でこれを防いだ。
 
 前半はプレーに絡む回数があまり多くなく、パス出しに重きが置かれていた伊藤だったが、後半はよりゴールに近い位置でプレー。51分にはハントの右からのクロスに飛び込んで惜しい場面を作った。
 
 伊藤はさらに、自陣での守備から味方に好パスを通したり、クロスでもチャンスを創出。54分には左サイドを突破してゴール前にボールを供給し、コスティッチのヘディングシュートを引き出した(わずかに枠外)。
 
 ハンブルクは56分にシュタインマンがエリア深くに侵入してシュート、さらに58分にはCKがファーサイドに流れたところでコスティッチがフリーでの得点機を迎えたが、ゾマーのファインセーブに阻まれる。コスティッチは62分にも、ホルトビーのクロスに飛び込んだが、わずかに届かなかった。
 
 逆に60分、ボルシアMGに決定機を与え、ラファエウのパスを受けたヴェントに完全フリーでのシュートを許したが、これを酒井がゴールライン上で身を挺してはね返し、ピンチを防いだ。
 
 すると、63分に伊藤が大きな仕事を果たす。左サイドでボールを受けた彼は、エリア内で縦に抜けると見せかけてマイナスにパス。これをホルトビーがダイレクトで合わせてゴール右隅に流し込み、ハンブルクが勝ち越しに成功した。
 
 重要な一戦で重要なゴールを演出した伊藤は、70分にはカウンターからコスティッチの好パスを受けて左サイドを攻略し、決定的なグラウンダーのクロスを入れたが、味方にはわずかに合わず、ボールはゴール前を通過していった。
 
 ここまで攻勢を続けたハンブルクだが、71分にウッドが2度目の警告を受けて退場。数的不利を強いられてしまう。ここからは守備に重きを置かざるをえなくなり、自陣でボルシアMGの攻撃をしのいで、時折、カウンターで追加点を狙うという試合展開となる。
 
 それでもハンブルクは、守備でこれまでのような凡ミスを犯したり、時間やスペースを相手に与えたりすることなくリードを維持し、逆に86分にはカウンターからコスティッチ、ジャッタと繋げて決定機まで作り出した(ゾマーがまたしてもファインセーブ)。
 
 そして試合はアディショナルタイムへ。いよいよ終戦間際となったところで、ホームチームのサポーターが発煙筒を次々に投げ込んだことで警官隊や騎馬隊がピッチに入る事態となり、試合は中断を余儀なくされる。
 
 ここから約15分ほどの長い中断を経て、試合は再開。ワンプレーを経て主審のホイッスルが鳴った。ハンブルクは最終戦を勝利で飾ったものの、奇跡の残留を果たすことはできず、観客の労いの拍手のなか、選手は涙を浮かべながらピッチを一周した。
 
 積極的で効果的な攻撃を見せ、守備では最後まで集中力を切らすことなく、リードを守り続けたハンブルク。最後に意地を見せたが、これがあと数試合で出ていれば……という悔いが残る。1963-64シーズンのブンデスリーガ創設以来、降格なしに歴史を作ってきた名門が来シーズン、ついに2部リーグのピッチに立つこととなった。
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