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【W杯 伝説への挑戦】C・ロナウドはエウゼビオを超えられるか|英雄が永眠したこの2014年に――

カテゴリ:国際大会

豊福晋

2014年06月16日

「ワールドカップで優勝して世界を驚かせたい」

心配された左足の怪我はどうにか回復したようだ。エウゼビオが永眠したこの2014年に、ロナウドは特別な何かを達成できるのか。 (C) Getty Images

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 ネイマール、リオネル・メッシ、クリスチアーノ・ロナウド――。自他ともに認めるブラジル・ワールドカップの主役候補の3人だ。彼らが挑むのは、ただし今大会の主役の座という限定的な栄誉ではないだろう。
 
 いずれもサッカー史に名を刻みうる特別な才能であり、ブラジルのネイマールはペレ、アルゼンチンのメッシはマラドーナ、ポルトガルのC・ロナウドはエウゼビオという、それぞれの国のレジェンドを超えうるカリスマだ。
 
 ブラジルの地で、いわば伝説に挑む3人の天才。その闘いに密着してお届けしよう。
 
――◆――◆――

 ワールドカップ開幕前日、クリスチアーノ・ロナウドとポルトガル代表はブラジルに入った。ロナウドは左足に怪我を抱えながら、だ。とはいえ、その表情は明るく、初戦のドイツ戦(6月18日)に向けての自信を感じさせた。
 
 チームメイトも笑顔を見せた。大会前の最後の調整試合、アメリカでのアイルランド戦の後だ。
「もう大丈夫だ。クリスティ(ロナウド)はドイツ戦に間に合う。アイルランド戦で彼の状態が問題ないと確認できたんだ。安心させてくれたよ」
 
 ロナウドは、5月24日のチャンピオンズ・リーグ決勝に先発フル出場した。延長戦を含めて120分間だ。そのため、左足の怪我を悪化させてしまっていた。そもそも、試合に出るべき状態ではなかったのだ。しかし、とロナウドは言う。
「決勝は無理してでも出る意味はあった」
 レアル・マドリーに悲願のデシマ(通算10回目のCL優勝)をもたらした彼は、幸せそうに笑った。
 
 それから2週間後のアイルランド戦。ポルトガル代表を率いるパウロ・ベント監督の一番の目的は、ロナウドの状態を確認することだった。この2週間、個人トレーナーのアントニオ・ガスパールと付きっきりで、ロナウドはリハビリを続けた。ガスパールは10年以上ロナウドを見ている、彼の身体を知り尽くしたフィジオだ。
 
「ドイツ戦には100パーセントの状態に持っていくよ」
 ガスパールはそう請け合ったが、実際にピッチでその動きを見るまでは、誰も確信が持てなかった。
 
 6月10日のアイルランド戦で、ロナウドは上々のパフォーマンスを見せた。左足をかばうような素振りがあるにはあったとはいえ、トライする姿勢があり、ゴールを狙う意欲も以前と変わらない。100パーセントとは言えないまでも、80パーセントの状態にはあるようだった。
 
 英雄エウゼビオが亡くなったこの2014年に、ポルトガル国民は新たな英雄が特別な何かを成し遂げることを期待している。
 
 CL優勝で締めくくった13-14シーズン、ロナウドはR・マドリーで素晴らしい活躍を見せた。公式戦を通じて51ゴールをマークし、その驚異的な決定力で文字通りチームを牽引した。このパフォーマンスをポルトガル代表で再現し、偉大な何かを達成できるのか。
 
 ロナウドを取り巻く環境はもちろん異なる。ポルトガルには前線で器用なプレーを見せるカリム・ベンゼマ(フランス代表)はいない。圧倒的なスピードを持つガレス・ベイル(ウェールズ代表)も、攻守に質の高いアンヘル・ディ・マリア(アルゼンチン代表)もだ。ジョアン・モウチーニョもラウール・メイレレスも悪い選手ではないが、マドリーのチームメイトのようにロナウドを助けることはできない。
 
 単純な戦力の比較で、ポルトガルはブラジルやスペイン、アルゼンチンやドイツといった優勝候補に劣る。攻守に渡ってタレント力が不足している。CL優勝やバロンドール受賞など、直前のシーズンで栄冠を手にした選手はワールドカップで輝けないというジンクスも気になるところだが、それよりも世界頂点を極めるには戦力的に厳しいだろう。
 
 それでも、ポルトガル国民は希望の光を見る。ロナウドならなんとかしてくれるのではないか、と。ロナウドがいれば、すべてが可能なのではないか、と。欧州予選のプレーオフでは、スウェーデン相手に2試合で4ゴールを決めた。チームの全得点を叩き出すロナウドの爆発で、ポルトガルは不利の下馬評を覆してワールドカップ出場を決めた。
 
「ワールドカップで優勝して世界を驚かせたい」
 そう語る大エースの言葉を、ポルトガル国民は信じている。エウゼビオが亡くなったこの特別な2014年に、新たな英雄が特別な何かを成し遂げるのではないか、と――。
 
文:豊福晋
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