【番記者通信】ついに無冠に終止符を打ったヴェンゲルの万感|アーセナル

カテゴリ:メガクラブ

ジェレミー・ウィルソン

2014年05月24日

「私のキャリアでもっとも重要なタイトル」

選手に胴上げされるヴェンゲル。9年ぶりの美酒に酔いしれた指揮官は、決意を新たにした。 (C) Getty Images

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 2005年を最後にタイトルから遠ざかっていたアーセナルが、ようやく栄冠をつかんだ。ファイナルでハルを下したFAカップ優勝は、8年に及んだ無冠にピリオドを打つ、待ちに待った瞬間だった。
 
 05年の同じくFAカップ優勝から次のタイトルまで、8年と11か月と26日の時間を要することになるとは、先見の明を持つアーセン・ヴェンゲル監督も、さすがに見通せなかったはずだ。肩の荷をようやく降ろし、10歳ほど若返ったようにも見えたヴェンゲル監督は、喜びを噛み締めながら語り始めた。
 
「試合を終え、まず幸福感と安堵感に浸っている。幸せというものは、苦しみと結びついている時がある。最高の瞬間を、じっと待たなければならないこともあるんだ。この優勝は、私のキャリアでもっとも重要なもの。負けていたら、大きな打撃を受けていただろう。だが、勝利できた。これで来シーズンは、もっと力をつけて戻ってこられるだろう」
 
「選手に戸惑いがあり、試合の入り方がよくなかった」とヴェンゲル監督が認めたように、キックオフ直後はアーセナルの選手に硬さが見えた。開始からたった8分間で2点を許し、ゴール裏のサポーターも沈黙するばかりだった。
 
 それでも、17分と71分にゴールを返して同点とすると、延長前半の109分、アーロン・ラムジーが起死回生の決勝弾を叩き込み、逆転でタイトルを手繰り寄せた。試合後、選手に胴上げされたヴェンゲル監督は、満面の笑みだった。
 
 この戴冠で、フランス人指揮官はクラブとの契約を3年延長する見通しだ。2017年の満了時、ヴェンゲルは67歳。アレックス・ファーガソンのように、70代になっても指揮を執りつづける可能性が出てきた。
 
 この数か月間、私は少し違った見方をしていた。ヴェンゲル監督は、契約を延長するとしても、1年、長くて2年ではないか。短期契約を繰り返したファーガソンの晩年と同じように、ヴェンゲルもキャリアの終着点を意識し始めたのではないか、と。番記者の間ではそれが有力だった。
 
 3年の契約延長は、指揮官の力強いメッセージだ。まだまだモチベーションと野心に満ち溢れ、プレミアリーグの覇権奪回に向け、来シーズン以降も戦いを続けていくという決意の表明なのだ。
 
 今シーズンのアーセナルは、前半戦と後半戦で明暗がくっきりと分かれた。前半戦は首位を快走しながら、アーロン・ラムジーやセオ・ウォルコットなど好調だった牽引車が相次いで怪我に倒れた後半戦は、目に見えて失速した。
 
 来シーズンからユニホームのサプライヤーが『プーマ』に代わる。ヴェンゲル監督に手渡される夏の補強費は、1億ポンド(約171億円)とも言われている。はたして、ヴェンゲルはどんな決意を見せるのか。まずはオフの動向に注目だ。
 
【記者】
Jeremy WILSON|Daily Telegraph
ジェレミー・ウィルソン/デイリー・テレグラフ
英高級紙『デイリー・テレグラフ』でロンドン地域を担当し、アーセナルに精通。チェルシーとイングランド代表も追いかけるやり手で、『サンデー・タイムズ』紙や『ガーディアン』紙にも寄稿する。
 
【翻訳】
田嶋康輔

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