11月27日に解任されたヴィンチェンツォ・モンテッラに代わって、ミランの監督に就任したジェンナーロ・ガットゥーゾは11月28日の就任会見の場で、名門再建に向けて自身の青写真を口にした。
 
「重大な責任であることは自覚している。でもこのチームを率いるのは大きな喜びだ。若いだけでなくクオリティーも備えている。16人もの代表選手がいる。間違いなくもっとやれるはずだ」
 
「私には私のやり方がある。ヴィンチェンツォとは（トップチームとプリマベーラの監督として）良い関係にあったが、サッカーに関する考え方は少し違う。ヴィンチェンツォはパスを繋ぐサッカーを好んでいる。私も同じだが、その後は縦に展開して最後の30メートルで危険な状況を作らなければならない。３バックで戦うつもりだが連携をより重視したい。時間とスペースというコンセプトをもっと掘り下げる必要がある」
 
「もっとチームとして振る舞うことを学ばなければならない。守勢に回って耐えること、ピッチを効果的にカバーしてカウンターを許さないこと。違う言い方をすれば、戦士のスピリットを持って互いに助け合い、コンパクトに戦うこと」
 
　2000年代初頭にカルロ・アンチェロッティ監督の下、２度のチャンピオンズ・リーグ（CL）制覇を成し遂げた黄金時代の中心メンバーだった「リンギオ（闘犬）」も、スパイクを脱いではや４年半の歳月が過ぎた。
 
　引退後のガットゥーゾは、現役最後のチームとなったスイスのFCシオンでプレーイングマネジャーを務めたのを皮切りに、2013-14シーズンはセリエBのパレルモ（８試合で途中解任）、14-15シーズンはギリシャのOFIクレタ（15試合消化後クラブが破綻寸前となったのを受け辞任）で監督を歴任してきた。
 
　そして過去２シーズンは、ピサを率いてセリエB昇格とC降格をそれぞれ経験するという、波乱万丈の監督キャリアを送ってきた。
 
　今シーズンはプリマベーラ（U－19チーム）の監督として５年ぶりに古巣ミランに戻り、インテル、アタランタというユース年代の強豪と首位を争うポジティブな結果を残していたが、モンテッラの解任に伴ってトップチームの指揮官に抜擢された。
 
　選手としてミランの黄金時代を支えた後、プリマベーラの監督からトップチームに昇格するというキャリアを歩んだOBたちはこれまでにもいた。14-15シーズンのフィリッポ・インザーギ（現ヴェネツィア＝セリエB）、15-16シーズン終盤のクリスティアン・ブロッキ（現広州恒大助監督）がそうだ。
 
　しかし、今回の人事において２人と大きく異なるのは、彼らがトップチームを率いた経験を持たなかったのに対して、ガットゥーゾはすでに４シーズンの「下積み」を経験していることにある。
 
　ガットゥーゾは就任会見でも、「選手時代を例にとって監督としての私を見るのは矮小化し過ぎだ。試合を準備するのに闘志とハートだけでは不十分だ。コベルチャーノ（イタリア・サッカー連盟の監督学校）は、タダでライセンスをプレゼントしてくれたわけじゃない。私は勉強し、経験を積んできた」と、自らの監督キャリアをアピールしていた。
 
　クラブ首脳陣もこれが単なる「つなぎ人事」ではないことを強調している。
 
「リーノを監督に選んだのは単なる穴埋めではない。これが現時点で最も正しい選択だからだ。彼はミラネッロ（練習場）とサン・シーロを熟知しているし、ここ数か月、プリマベーラを率いて評価に値する結果を残してきた」（マルコ・ファッソーネGD）
 
「なぜガットゥーゾか？ リーノはミランのDNAだけでなくサッカーのコンセプトをチームに伝える優れた手腕を持っている。我々にプラスアルファーを与えることができる監督だと信じている。私はこのチームの価値をよく知っているつもりだ。モンテッラには23試合という時間を与えたけれど、全体としてチームが持てる力に見合った結果が残せなかった。このチームの潜在能力はもっと高い」（マッシミリアーノ・ミラベッリSD）