“痕跡”を残さないカゼミーロ、足枷をされた日本

世界屈指の高い技術を活かしてチャンスやゴールを生み出したネイマールだが、プレー以外の部分での様々な仕掛けで、日本の選手に揺さぶりをかけていた点も見逃してはならない。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)
11月10日、ハリルジャパンはブラジル代表に、完膚なきまでに叩きのめされた。スコアは1-3だったが、両者にはそれ以上の差があった。
日本のチーム戦術は機能せず、個人でも敗れていた。
しかし、赤子の手をひねるがごとく一蹴された、というわけではない。局面では、五分以上の戦いも見せている。全てを否定するべきでもない。
それは、ディテールの差の蓄積がもたらした完敗だったのだろう。
例えば前半の28分、日本はバックラインの槙野智章が持ち上がり、球足の鋭い縦パスを敵DF陣のギャップに入った原口元気の足下に入れている。これをコントロールした原口はボールスピードを活かし、前を向いて鋭いドリブルに入った。
見事なコンビネーションとスキルであり、アジアレベルならチャンスになっていただろうが、原口はカゼミーロにファウルで止められる。この後、吉田麻也がFKを蹴り、バーを直撃するシュートを放った。その意味では、原口のドリブルは活きたということだろう。
しかし、ディテールはもっと奥に隠れている。
ドリブルでスピードに乗りかけていた原口が、そのまま敵陣に向かって進むことができていたら、チャンスの可能性は確実に広がっていた。しかし、それを巧妙なファウルで止められている。「巧妙な」というのは、カゼミーロがこのプレーでイエローカードを受けていない点である。
カゼミーロが何度となくファウルで日本選手を止めながら、一度もイエローカードを受けなかったのは、特筆すべき点である。これも「マリーシア」のひとつか。
彼は、ファウルをしたのが事実であっても、その“痕跡”を残さない。接触してもそそくさとその場を離れ、平然としたものである。身体を倒し、滑って、もつれるような場面も極端に少ない。こうしてカードを回避することにより、際どいディフェンスを選択し続けられるのだ。
一方、日本の守備陣は、吉田、井手口陽介、酒井宏樹がイエローカードを掲げられ、力をもがれていった。その次は、厳しく当たりにいけない。足枷をはめられたのだ。
日本のチーム戦術は機能せず、個人でも敗れていた。
しかし、赤子の手をひねるがごとく一蹴された、というわけではない。局面では、五分以上の戦いも見せている。全てを否定するべきでもない。
それは、ディテールの差の蓄積がもたらした完敗だったのだろう。
例えば前半の28分、日本はバックラインの槙野智章が持ち上がり、球足の鋭い縦パスを敵DF陣のギャップに入った原口元気の足下に入れている。これをコントロールした原口はボールスピードを活かし、前を向いて鋭いドリブルに入った。
見事なコンビネーションとスキルであり、アジアレベルならチャンスになっていただろうが、原口はカゼミーロにファウルで止められる。この後、吉田麻也がFKを蹴り、バーを直撃するシュートを放った。その意味では、原口のドリブルは活きたということだろう。
しかし、ディテールはもっと奥に隠れている。
ドリブルでスピードに乗りかけていた原口が、そのまま敵陣に向かって進むことができていたら、チャンスの可能性は確実に広がっていた。しかし、それを巧妙なファウルで止められている。「巧妙な」というのは、カゼミーロがこのプレーでイエローカードを受けていない点である。
カゼミーロが何度となくファウルで日本選手を止めながら、一度もイエローカードを受けなかったのは、特筆すべき点である。これも「マリーシア」のひとつか。
彼は、ファウルをしたのが事実であっても、その“痕跡”を残さない。接触してもそそくさとその場を離れ、平然としたものである。身体を倒し、滑って、もつれるような場面も極端に少ない。こうしてカードを回避することにより、際どいディフェンスを選択し続けられるのだ。
一方、日本の守備陣は、吉田、井手口陽介、酒井宏樹がイエローカードを掲げられ、力をもがれていった。その次は、厳しく当たりにいけない。足枷をはめられたのだ。