17節からはベンチ外…。それでも周囲の評価は一貫して高かった。
フワリ。
アンデルソン・ロペスが浮かしたボールは、カウンターを阻止しようとした竹内涼の努力を完璧に無と化した。ロペスの視界にはフェリペ・シウバ。左足でしっかりと足下につける。
前を向き、運んだ。
「切り返して、シュートだ」。
だが、一瞬の判断変更。紫の10番には、50mのスプリントを仕掛けた稲垣祥の姿が見えていた。
スルーパス。スピード・コースは完璧。走り込んだボランチの足下にピタリ。
シュートだ。
GKがブロック。
浮いた。
そこには、シウバのパスが出た時から綿密に計算し、前に入るタイミングをコントロールしていたパトリックがいた。
決めた。
歓喜が爆発する紫のサポーターの前でシャツを脱ぎ、「超人ハルク」のポーズで逞しい肉体を見せ付けた。
84分、鄭大世の同点弾で沸き上がるIAIスタジアム日本平の雰囲気を一瞬にして落胆に変えた広島の勝ち越しゴールは、90+1分。さらにその5分後、柏好文のパスを受けたフェリペ・シウバが右足弾を突き刺す。5試合負けなし、今季初の連勝を飾った広島は、残留圏をガッチリと維持。13位・清水との差を2ポイント差にまで詰めた。
甲府との直接対決に勝利したものの、大宮・新潟には引き分け。堅守を取り戻したものの得点が奪えず、勢いが加速できなかった。その嫌な雰囲気を一変させたのが、紫の10番だ。C大阪を粉砕した今季初得点、横浜を震撼させた天皇杯での強烈ミドル。そして清水戦の歓喜。誰もが爆発を待ち望んだフェリペ・シウバの公式戦3試合連続ゴールが、広島を加速させている。
プレシーズンではゲーム毎に得点を積み重ねたシウバだが、公式戦に入ると様相が変わった。厳しいマークと徹底してスペースを消されるJクラブの守備に、リズムが完全に狂った。チャレンジしてはボールを失う姿に、メディアからは「戦犯」と名指しされ、サポーターのため息が繰り返された。
「スペースがまったくない。前を向いても5~6人は相手がいる。すべてを抜くことはできない」
開幕2戦目、清水の強固な守備の前に沈黙を繰り返したシウバが、うめくように言葉を絞り出す。信頼を失い、8節からスタートリストから名前を消した。17節の対浦和戦ではベンチからも外れ、半ば戦力外のような存在に。
だがそれでも、チーム内外からの「シウバ待望論」は消えなかった。森崎浩司アンバサダーは「間違いなく技術は高い」と評価。兄・和幸も彼のポテンシャルを認め、練習でもサテライトの試合でも声を掛け続けていた。
アンデルソン・ロペスが浮かしたボールは、カウンターを阻止しようとした竹内涼の努力を完璧に無と化した。ロペスの視界にはフェリペ・シウバ。左足でしっかりと足下につける。
前を向き、運んだ。
「切り返して、シュートだ」。
だが、一瞬の判断変更。紫の10番には、50mのスプリントを仕掛けた稲垣祥の姿が見えていた。
スルーパス。スピード・コースは完璧。走り込んだボランチの足下にピタリ。
シュートだ。
GKがブロック。
浮いた。
そこには、シウバのパスが出た時から綿密に計算し、前に入るタイミングをコントロールしていたパトリックがいた。
決めた。
歓喜が爆発する紫のサポーターの前でシャツを脱ぎ、「超人ハルク」のポーズで逞しい肉体を見せ付けた。
84分、鄭大世の同点弾で沸き上がるIAIスタジアム日本平の雰囲気を一瞬にして落胆に変えた広島の勝ち越しゴールは、90+1分。さらにその5分後、柏好文のパスを受けたフェリペ・シウバが右足弾を突き刺す。5試合負けなし、今季初の連勝を飾った広島は、残留圏をガッチリと維持。13位・清水との差を2ポイント差にまで詰めた。
甲府との直接対決に勝利したものの、大宮・新潟には引き分け。堅守を取り戻したものの得点が奪えず、勢いが加速できなかった。その嫌な雰囲気を一変させたのが、紫の10番だ。C大阪を粉砕した今季初得点、横浜を震撼させた天皇杯での強烈ミドル。そして清水戦の歓喜。誰もが爆発を待ち望んだフェリペ・シウバの公式戦3試合連続ゴールが、広島を加速させている。
プレシーズンではゲーム毎に得点を積み重ねたシウバだが、公式戦に入ると様相が変わった。厳しいマークと徹底してスペースを消されるJクラブの守備に、リズムが完全に狂った。チャレンジしてはボールを失う姿に、メディアからは「戦犯」と名指しされ、サポーターのため息が繰り返された。
「スペースがまったくない。前を向いても5~6人は相手がいる。すべてを抜くことはできない」
開幕2戦目、清水の強固な守備の前に沈黙を繰り返したシウバが、うめくように言葉を絞り出す。信頼を失い、8節からスタートリストから名前を消した。17節の対浦和戦ではベンチからも外れ、半ば戦力外のような存在に。
だがそれでも、チーム内外からの「シウバ待望論」は消えなかった。森崎浩司アンバサダーは「間違いなく技術は高い」と評価。兄・和幸も彼のポテンシャルを認め、練習でもサテライトの試合でも声を掛け続けていた。