リーガ2部降格寸前のグラナダ……クラブの迷走がチームを崩壊させた典型例

カテゴリ:連載・コラム

工藤拓

2017年04月27日

「超攻撃的」から「専守防衛」への“詐欺に近い”方針転換…

スペイン代表やビッグクラブでの監督就任も噂されていた有能な監督の下で躍進が期待されていたグラナダだが、選手やファンを待っていたのは無残な結果だった。 (C) Getty Images

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 今シーズンの残留争いは、リーガ・エスパニョーラ史上最もレベルが低いといわれている。
 
 通常、残留のボーダーは勝点42前後になるものだが、今シーズンは34節終了現在、降格ラインとなる18位スポルティング・ヒホンの勝点はわずか24である。
 
 同節に勝った17位のレガネスが勝点を30に伸ばしたことで、4節を残して、勝点18の最下位オサスナの降格が決まり、勝点20の19位グラナダも逆転の可能性がほぼ潰えた。
 
 オサスナの降格は予想通りの結果と言える。昨シーズン、2部リーグ6位で昇格プレーオフに滑り込み、想定外の昇格を果たしたが、まだ経済的にも戦力的にも、1部リーグで戦える体力が備わっていなかったからだ。
 
 一方、グラナダの自滅ぶりは地元ファンを大いに落胆させるものだった。
 
 昨年5月にイタリアのポッソファミリーから中国企業の手にクラブの経営権が渡って以降、その迷走ぶりは目に余るものがある。
 
 ラージョ・バジェカーノで実践した超攻撃的スタイルが高く評価され、多数のクラブからラブコールを受けていたパコ・ヘメスと3年契約を結んだところまでは良かった。
 
 だが、選手補強の遅れもあってスタートで躓くと、あろうことかクラブは6節終了時点で新プロジェクトの騎手だったはずのパコをあっさり解任してしまう。
 
 しかも後任に選んだのは、パコとは正反対の専守防衛スタイルで知られるルーカス・アルカラス。戦術もシステムも一変した結果、当然ながら、パコを慕ってやってきた選手の大半は、早々に戦力外となってしまった。
 
 ほとんど詐欺に近い方針転換を行なった後も、チームが降格圏を抜け出せずにいると、しびれを切らしたオーナーのジョン・ジアン会長は、昨年7月に契約したばかりのハビエル・トラルボ“ピル”SDを解任する。
 
 そして、自身が会長を務める「DDMCフットボールクラブ・マネジメントカンパニー」に、チーム強化を一任することを発表した。
 
 DDMCとは、中国スーパーリーグの重慶力帆のチーム強化も担っているスポーツマネジメント会社で、実質的には副会長を務めるトニー・アダムスを中心に動いている。
 
 同社が提携している重慶力帆でもSDを務めていたアダムスは、ピルの解任後にグラナダ入りし、実質的な強化部長としての役割を担い始めたのだが、その後、事態はまたしても急変する。
 
 31節のバレンシア戦に敗れた翌日の4月10日、3か月前に2018年まで契約を延長したばかりのアルカラスが解任され、他でもないアダムス自身が新監督に就任したのだ。
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