【回想録】日本でのレアル・マドリー激闘史――Jリーグ勢との5試合(2003~2005)

カテゴリ:メガクラブ

サッカーダイジェストWeb編集部

2016年12月18日

2003年――有料の公開練習、FC東京相手に披露した“魔法”

ジダンはかつて「マドリーは公式戦だろうが、親善試合だろうが、全ての試合に勝たなければならない」と語ったが、スター軍団のその真摯な姿勢と魔法のようなプレーは、10数年前の日本を魅了した。 (C) SOCCER DIGEST

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 今日12月18日、世界一クラブの座を懸けて鹿島アントラーズと対戦するレアル・マドリー。実力的には圧倒的有利と見られているものの、勝負の何たるかを知るスター軍団は、油断することなく、最後の戦いに備えている。
 
 世界一クラブ決定戦は過去に何度も経験しているマドリーだが、相手が日本のクラブというのは初めてであり、どのような試合になるかが非常に興味深い。
 
 ちなみに、マドリーが過去に日本のクラブと対戦したのは5回。いずれも2000年代の親善試合ばかりだが、ここでは歴史的な決戦を前に、銀河系軍団とJリーグ勢の戦いの歴史を、当時のサッカーダイジェストの記事で振り返ろう。
 
――◇――◇――
 

日本での人気が最高潮に達していた時期の来日であり、公開練習の他にも様々なイベントが行なわれ、また個々の選手があらゆるジャンルのテレビ番組に出演するなど、宣伝活動にも勤しんだ。 (C) SOCCER DIGEST

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FC東京戦のスタメン。ジダンは欠場したが、それでも「銀河系軍団」は極上の輝きを放った。 (C) SOCCER DIGEST

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◇レアル・マドリー 3-0 FC東京
 
 8月3日、来日したばかりのレアル・マドリーの選手たちが早速、東京ドームに集結。ここでは有料の公開練習が行なわれ、4万5000人もの観衆が訪れた。
 
 軽いウォーミングアップからシュート練習、ミニゲームなどをこなし、時にはベッカムやロベルト・カルロスがスタンドに向かって手を振って声援に応えていた。
 
 その2日後、超満員の国立競技場。FC東京のホームゲームではあるが、主役はもちろん白い巨人、マドリーである。やや過剰なショーアップの後、スター軍団の登場により、たちまちスタジアムの興奮は最高潮へと達していった。
 
 やがて試合開始の時を迎えると、意外にも主導権を掴んだのはFC東京。前線から積極的にプレスを仕掛け、相手の出足を突く。3分、三浦がこの試合最初のシュートを放ち、4分には茂庭がCKからのヘディングで、最初の決定機を作ってみせた。
 
 マドリーは負傷のジダンがベンチから外れ、トップ下にフィーゴ、右サイドにベッカムを置く4-4-2のシステムを採用。だが、マケレレの1ボランチが守備に追われてしまい、攻撃への切り替えがスムーズに進まない。そのなかでベッカムも孤立。18分にFKを放った以外は、ほとんど見せ場を作れなかった。
 
 すると25分過ぎ、ケイロス監督が2本の指を出して、指示を送る。ベッカムがマケレレと並んでボランチに、フィーゴが右サイドへと入る。「システムを変えて、前にスペースができたので自由に動く余裕も生まれた」とベッカムが語った通り、効果はすぐさま表われる。
 
 29分、右サイドに抜けたベッカムからポルティージョへとスルーパスが通り、マドリー最初の決定機が生まれる。そして37分、この日のハイライトが訪れた。
 
 マドリーが再びFC東京ゴール前でFKを得る。先ほどと同じく、スポットに付いたのはベッカム。「ニアサイドに来ると読んでいたが、壁の頭を越す感じでファーに来た」(土肥)という逆を突いたボールがネットを揺らしたのだ。
 
 ここからは、マドリーの独壇場だった。44分、ラウール→フィーゴ→ポルティージョとDF陣を切り裂くパス回しから、シュートのこぼれ球をソラーリが押し込んで2点目を決める。
 
 後半開始からは、ロナウド、R・カルロスが満を持して登場。88分、ロナウドがフェイントから弾丸シュートをゴールに叩き込んだ。
 
 ベッカムのFK、流麗なパス回し、ロナウドの個人技。観衆の期待に応える3ゴールだった。
 
 ドリブル、パス、そしてセットプレー……。とりわけゴールを目前にしたマドリーの技は、観衆に魔法をかけてしまうほどの魅力に満ちていた。
 
※週刊サッカーダイジェスト2003年8月26日号より(一部、割愛・表記&文章修正)
 
◎サントリードリームマッチ
2003年8月5日/国立競技場 観衆54,268人
レアル・マドリー 3-0 FC東京
得点:ベッカム(37分)、ソラーリ(44分)、ロナウド(88分)
 
マドリー:GK/セサル DF/ミチェル・サルガド、ルベン(46分パボン)、イバン・エルゲラ、ラウール・ブラーボ(46分ロベルト・カルロス) MF/マケレレ(46分カンビアッソ)、ベッカム、フィーゴ(76分セラーデス)、ソラーリ FW/ラウール、ポルティージョ(46分ロナウド) 監督/カルロス・ケイロス
 
FC東京:GK/土肥 DF/加地、茂庭、藤山、金沢 MF/三浦(70分浅利)、宮沢(63分梶山)、戸田(72分近藤)、ケリー、馬場(84分福田) FW/阿部(46分オ・ジャンウン) 監督/原 博実
 
【写真】レアル・マドリー IN JAPAN(1998~2005
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